一度でいいから愛されてみたいのでぶりっ子になる【d!】 (ページ6)

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“あの人達” ページ6

ヤバい。

心臓がバクバクしてる。

緊張しすぎて心音が聞こえる。

楓ちゃんがいるからまだマシな方なんだろうけど。

『はぁ、はぁ、ふぅ……か、階段長かったよぉ……。』

「あはは、疲れちゃった?質問タイムでも言っとったもんね、運動苦手やって。」

『う、うん……。ほんっとうに苦手なのぉ……。』

本当は疲れによる息切れだけじゃなくて、緊張による息切れもしている。ダブルパンチ。キツい。

『ふぅ……。ごめんねぇ、もう大丈夫ぅ。』

「ええよ～。さ、行こ!」

そう言って楓ちゃんはドアを開けた。

『わぁ……!』

風が、気持ちいい。空が、綺麗。

屋上って、こんな感じなんだ。

『A、屋上って初めて来たよぉ……。小学校も中学校も、屋上に行くの禁止だったからぁ……。』

「えへへ、気持ちいいでしょ?えっと、みんなは～っと……あっおった!!やっほーみんな～!!」

どうやら楓ちゃんは“あの人達”を見つけたらしい。手が引っ張られた。

『わっ……と……』

「あ、ご、ごめん!」

『う、ううん、いいのぉ。えっ、と……』

楓ちゃんの言う“あの人達”とはどんな人達なんだろう。
気になって、楓ちゃんの影から覗き見た。

『ｯｯｯｯ!!??』

……夢小説で見たような展開。

「お、楓ちゃんや!いらっしゃいめう～。」

「珍しいな、今日は他の友人達はいいのか?」

「あ～うん、今日は新しい友達と一緒!」

「新しい友達?相変わらずコミュ力高いなぁ」

「楓ちゃ～ん!!僕の隣座る?」

「あ、うん!ありがとう!」

「あっ大先生のやつ……!」

……この学校の、生徒会。

『ね、ねぇ、楓ちゃん……わた……Aやっぱり、戻……』

「あ、そうそう!紹介するね!転校生の神崎Aちゃん!!」

ヒェッッ紹介されてしまったっっ

「あ……同じクラスの……」

しかも同じクラスいたーーー!!

い、いかんいかん、ちゃんとぶりっ子を保て私!!

『すぅっ……えっとぉ、○○高校から転校してきたぁ、神崎Aでぇす☆よろしくねぇ☆』

「お、おぉ……よろしくな……」

反応悪い!!なんかミスった!!??

「えっと、さっそくなんやけど、」

楓ちゃんが自分のお弁当箱を開けながら言った。

「あ……待ってその前に、Aちゃんどしたん?私の隣おいでや!」

手招きされ、近づく。

すると、楓ちゃんの左隣の人がサッと寄ってくれた。優しい、泣いちゃう。