私と奇妙な文芸部 (ページ7)

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07.カップケーキとティーセットページ7

私はカップケーキをくるりと回し、一口が一番食べやすそうな角度を探す。
　ジョニィは黙っている。こちらへチラチラと視線を向ける彼にどうしても気を取られてしまう。もしかして、一口食べるのを待っているのかな？ようやく、私は噛みつく。
　アイシングは甘くてとても風味豊かだ――彼が作ったのだろうか。
「これ、とても美味しいよ。ありがとう、ジョニィ」
　そう伝えると、ジョニィは頬を赤らめる。
「な、なんで僕に感謝してるワケ？べ、別に…！」

「…アンタの為に作ったわけじゃあないんだし」
「えっ？でも正確にはそうなんじゃないの？だってポルナレフが言ってた――」「まあ、そうかもしれないけれど！」
　疑問に思ったことを言うと、ジョニィはさっきより濃く頬を紅くし、そっぽを向く。
「でも、ほら、アンタの為じゃないからな！バカ…」
「分かった分かった…」
　ジョニィの変な論理を理解しようとするのを諦め、会話を終える。
　花京院はティーセットを抱え、テーブルへ戻ってくる。私たち一人一人の目の前にティーカップを慎重に設置し、ティーポットをカップケーキのとなりに置く。

　…なんだか、女子力が高い人たちだ。

「教室にティーセットを丸ごとしまってるの？」
　ティーセット一式(多分)を持ってきたものだから、学校用の鞄に入るはずがない。
「大丈夫、先生たちから許可取ってるから。だって、温かいお茶と良い本は相性が最高だろう？」
「あー…そ、そうだね…」
　本なんて普段読まないので、相性が最高なのかは私には分からない。なので、肯定する答えを示しておいた。
「えへへ、怖がらなくていいんだよ。花京院くんは君にいい所見せたいだけだから」
　話を聞いていたジョナサンがそう言った。
「えっ！？そ、そんなの…」
　驚いた表情をし、恥じらいながら、花京院はそっぽを向く。
「そういう事じゃなくて、さ…」
「いや、ちゃんと分かってる。まあ、お茶と読書は私の娯楽とは言わないけど、お茶くらいは好きだし」
「よかった…」
　花京院はほっとし、はにかむ。
　片方の眉を上げていたジョナサンは、私に向かってほほえむ。
「それで、どうして文芸部に入ろうと思ったんだい？」
「えっと…」
　私はこの質問に恐れていた。ジョナサンには、ポルナレフに無理矢理連れて来られたとは言うべきではない気がする。
「まあまだ部活決めてなかったし、それにポルナレフが楽しそうだったし…」