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夕映えの景色# ページ8

小塚side






「あ〜、楽しかった」






皆で地面に寝そべった






「お前ははしゃぎ過ぎだ。小学生か」






上杉が喧嘩を吹っかける






僕は、そんな風景を見て、無意識に呟いてしまっていた






「僕達、もうすぐ2年生になるんだね・・・」






僕が発した言葉で、その場が一瞬シーンとなる






「若武達は、Zに入るんだよね?」






「あぁ」






上杉も、無言で頷いた






「黒木は?」






「俺は・・・断ったよ」






「勿体ない」






アーヤの言葉に、黒木は意外そうな顔をした






「アーヤ良いの?若武達が入ると、もうこんな風に集まる事も少なくなるんだよ?」






「うん、良いの。だって、KZは生き甲斐だもん」






僕には、アーヤの言っている意味が分からなかった






それは、皆も同じみたいだった






「どういう事だ?」






若武が聞く






「KZは生き甲斐で、いつまでも心の中に思い出は在り続けるの。・・・永遠に」






僕はそっと、アーヤの横顔を見ようした






だけど、太陽が逆光になって、アーヤの表情は分からなかった






「だから、大丈夫。私にとってはKZの存続より、皆の意志の方が大事なんだ」






その時僕は、アーヤが微笑んだように見えた






「若武や上杉君がZに入りたいって言うのなら、私は祝福する。それが“仲間”ってものでしょ」






「なんか・・・アーヤじゃないみたいだね」






美門がそんな事を呟いた






それは僕も同意見だった






「ふふっ。私だって、成長するよ。人は成長しなきゃ、変われないから」






僕は、なんでかアーヤがとても遠い存在に思えた






アーヤはスッ、と夕日に変わりつつある太陽に、手を伸ばした






「夕映えの景色だね・・・」






「夕映え?」






僕が漏らした声に、アーヤはきちんと答えてくれた






「夕映えはね、夕日の光を受けて、空が照り輝いている事を言うんだ。又は夕焼けの別名」






「アーヤ、ありがと」






「ううん。これぐらいなんて事ないよ」






「そんじゃ、そろそろ戻るか」






「そーだな」






皆でテキパキとこの場を片付ける






そして、自転車のカゴに荷物を放り込んで出発しようとした時、






まだアーヤは夕日を見ていた






「アーヤ、行くよ」






「うん」






アーヤが笑って振り向いた時






僕は何故か、アーヤの表情が、






#






とても泣きそうな顔に見えたんだ

星々の光#→←菜の花畑##



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けい - 更新頑張って! (12月3日 21時) (レス) @page25 id: df4e5119e7 (このIDを非表示/違反報告)
天奏 - なーさん、あおいさん、candyさん、読んでくれてありがとうございます。続編の彼方の春星は、現在大幅に修正を入れています。近々全体に公開予定ですので、しばしお待ち下さい。 (2020年5月28日 21時) (レス) id: ef1cf094cc (このIDを非表示/違反報告)
天奏 - かよさん» ありがとうございます! (2020年5月28日 20時) (レス) id: ef1cf094cc (このIDを非表示/違反報告)
candy - 天奏さん、とっても面白かったです!!続編も見たいので、もし宜しければ観覧パス教えていただけませんか? (2020年5月24日 9時) (レス) id: 6b72a2ad5a (このIDを非表示/違反報告)
あおい(プロフ) - すごく面白かったです! 私、天奏さんの作品大好きなんです! なんですけど、この小説の続編が見れないんですよね。 良ければ、観覧パスワード、教えていただけますか? よろしくお願いいたします。 (2020年5月12日 13時) (レス) id: 331ddf8f4c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:天奏 | 作成日時:2019年6月24日 21時

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