やさしい食卓三。【SS】 (ページ23)

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八十三。知ってた？ページ23

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『A、来たよ～♪』

今日は、涼子が食事に来てくれた。

『あ、これ。ハワイのお土産ね』

「ありがとう、新婚旅行どうだった？」

結婚式を終えて直ぐ、涼子はご主人とハワイへ新婚旅行に行っていた。

『すっごい楽しかったよ～

やっぱりハワイはイイね！一回もケンカしなかったし♪』

少し陽に焼けた肌と、ご機嫌な涼子の様子から、充実した旅行だった事が伺える。

「でもご主人、また海外出張でお疲れなんじゃない？休まらないでしょうに…お気の毒」

『大丈夫よ～そんなヤワじゃないから。それに、それはお互い様でしょ』

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“お互い様”

二日前から、涼子のご主人と櫻井さ…あ、翔さんが(笑)

二人で上海に出張に出ていて。

涼子から、“家に一人きりだから食事に来たい” という連絡を貰ったのは昨夜の事だった。

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『いや～、やっぱりあのイケメンを射止めたのはAだったわね』

威勢良く生ビールを飲み干した涼子が、悪戯顔して私にそう言った。

『旦那に聞いたわよー。彼、気を抜くとすぐ惚気るって』

「やだ、もう…」

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“俺、ずっと、お前の事だけを見て来た”

“…ずっと、お前の事だけが、大切だった”

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「…ねえ、涼子」

私がそう呼び掛けると、

彼女は突き出しの赤かぶの煮浸しを摘みながら “んー？” と返事をする。

「智くんが、私の事、その…好き…？だったような事、知ってた？」

自分でこんな事を口にするべきかと思いながらも、おずおずと彼女に訊いてみる。

すると、

彼女は気持ち良いくらいにあっさりと “ああ、やっと気付いたの？” と言って

『何、大野さんについに告白されちゃった？』

と、言葉を続けた。