やさしい食卓二。【SS】 (ページ6)

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三十六。言い聞かせるページ6

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『まぁお客様、とても良くお似合いですよ』

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“Aもちゃんと式から来てね？”

来週末に控えた、親友の涼子の結婚式。

結婚式に参列するのは人生で2回目だ。

その一回目は20歳の時で

その時に着たアイボリーカラーのAラインワンピースを再度着ようか迷ったけど、

やはり6年も前のものとなると、ウエストから広がった膝上のフレアスカートが少し子供っぽく感じて。

今回はドレスを新調することにした。

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ノースリーブでウエストが締まったカシュクールのタイトワンピース。

6月の季節にも合うアイスブルーで、スカート丈も短すぎず品がある。

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「それじゃ、これにします」

店員にそう伝え、案内されたソファに座って包装が済むのを待つ。

あと必要なものは…

そう考えながら、ショップのガラス窓向こうの明治通りに顔を向けると

知っている顔が目に入る。

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…あ。二宮さんと、奥様だ。

ご夫婦でお買い物かな

結婚される前に、一度2人揃って私の店にいらっしゃったことがある。

よく笑う、優しい雰囲気が印象的な、感じの良い女性だった。

談笑しながら楽しそうに連れ立って歩く2人。

ふと、二宮さんが奥様に近付き耳元に口を寄せて何かを囁いた

すると奥様は照れたように笑い、二宮さんの左腕に自分の右腕を絡めた。

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“…ごめん。少しだけ、このまま”

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あれから2週間ほど経ったけど

櫻井さんはあれ以来、店にはいらっしゃっていない。

…今でも、あの時の身体が熱くなるような感覚が蘇る時がある

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…あれは、彼も弱っていただけだ。

深く考えてはいけない。

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そう自分に言い聞かせて、頭の中から彼を振り払う。

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『お客様、お待たせ致しました』

そんな風にしていると、包装を済ませた店員から声が掛かる

『ご友人様の結婚式、素敵なものになると良いですね』