やさしい食卓二。【SS】 (ページ28)

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五十八。待ち伏せページ28

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ああ…

片脚を掛けて、ガードレールに寄り掛かる姿だけでこんなにサマになるなんて

なんて、間抜けな事を思っていると

彼がこちらへ近付いてくる。

『ちょっと近くで飲んでたから。家まで送るよ』

そう笑顔で言った櫻井さんは、私の隣に並んで旧山手通りを歩き始めた。

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『なんかごめんね、待ち伏せじみた事して』

黙って隣を歩く私に、少し彼が申し訳無さそうにそう言った。

『 “じみた事” っていうか、立派な待ち伏せだよな(笑)』

そうやって変に彼に気を遣わせてしまって、私も何だか申し訳無くなる。

「いえ、そんな…あ、京都に行ってらしたんですよね？」

私の言葉に、彼はこちらに顔を向けた

「二宮さんから聞いてました。お疲れ様です、お帰りなさい」

彼の目を見てそう言うと、嬉しそうな表情をして

『うん、ありがとう』と言った。

こんな風にこの道を

誰かと並んで歩くことなんて、これまであっただろうか

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『今日、夕方には東京に帰って来てたんだけどさ』

少し間を置いて、彼が口を開く。

『今は香港に勤めてる、昔の同僚から急に連絡があって』

『東京に来てるから久しぶりに会わないかって言われて、さっきまで二人で飲んでたんだけど』

そう言う彼は

どこか遠くに視線を向けて、言葉を続ける

『まあ実は、ソイツとは色々あって3年くらい疎遠だったの』

『でも、今回こうやって連絡くれて、また会えて、すげー嬉しかったんだよね』

『なんか…お互い色んな意味で成長したんだなって、感慨深くなって』

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“3年くらい疎遠だったの”

2人の間に何があったのかは、もちろん私には分からないけど

“また会えて、すげー嬉しかったんだよね”

きっと良い再会の時間になったんだな、と思う

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『ソイツさ、来週半ばまで東京にいるみたいだから』

『それまでに一度、二宮も呼んでAさんの店に連れて行くよ』

そう嬉しそうに彼が言うから、私も何だか嬉しくなる

「楽しみに、お待ちしてますね」

私がそう言って櫻井さんに笑いかけると

彼は歩みを止めて、私の目を真っ直ぐに見つめてこう言った

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『…それなら、ルール違反にはならないよね？』