やさしい食卓二。【SS】 (ページ23)

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五十三。強敵ライバル【翔】ページ23

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東京に着くのは、夕方17時頃。

今日は会社には寄らなくて良いから、向こうに着いたらそのままAさんのところに行こうかな。

そう考えて、彼女の店に電話を掛けようとケータイを手にしたら、ちょうど着信があった。

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『…あ、翔さん？お疲れ様。そろそろ新幹線乗る頃？』

電話の主は、二宮だった。

「ああ、今から乗るところだけど。どうかした？」

なんだろ

もしかして会社に寄らなきゃ行けなくなったとかか？

『今日は直帰でしょ？』

「ああ、そうだけど」

『じゃ、Aさんとこ行ってね』

……は？

『俺、月曜日に店行ったんだけど』

『その時に “翔さん、京都から戻ったら顔出すって言ってた” ってAさんに言っちゃったからさ』

「え？何で？」

『んー…ちょっと、イレギュラーで』

イレギュラー？

『翔さん、あんまりウカウカしてらんないよ』

よく分からない話の流れに、頭の中が疑問符で一杯になる

『“強敵ライバル現る” ってところかな』

…何言ってんだコイツ

「いや、まあ…元々今晩は行くつもりだったけど」

先程購入した、Aさんへのお土産の帯留が包装された和箱に目をやりながら、二宮にそう伝えると

『おっ、なーんだ。それじゃ電話する必要無かったね』

“じゃ、Aさんに宜しく～” なんて言って、二宮はアッサリ電話を切った。

いったい何だったんだ？

そう思いながら、ホームに到着した新幹線に乗り込む。

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だけど

気になったフレーズがあった。

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“翔さん、あんまりウカウカしてらんないよ”

“強敵ライバル現るってところかな”

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そう言えば、月曜日に店に行ったって言ってたな。

…いったい、何があったんだ？

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二宮からの訝しげな電話に少々モヤモヤしつつ

俺は東京への帰路についた。