やさしい食卓二。【SS】 (ページ18)

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四十八。オススメ物件ページ18

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ああ…酷い顔

昨晩、彼是対策して眠りに就いたけど

やっぱり少し目が腫れてしまった

お化粧で何とか誤魔化さないとな

そう、何時もより少し時間をかけて丁寧にお化粧をしていく。

着物はどれにしようかな

そう悩んでいると

ふと、昨日のアイスブルーのドレスが目に入る

“今日のAさん、すげーキレイ”

昨日は

櫻井さんの着ていたシャツとポケットチーフも、私と同じアイスブルーだったな

そう思い出した時には、条件反射で水色の着物に手を伸ばしていた。

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『こんばんは』

店の玄関からそう声がして、昨日のある瞬間と重なる

“あれ？Aさん？”

「あ、二宮さん、こんばんは。今日はお一人ですか？」

『うん。ここ座って良い？』

結婚されて以来、彼が一人で店にいらっしゃったのはこれが初めてだ。

「あ、どうぞ。お手拭きお出し致しますね」

私がそう言うと、彼は笑顔で応えてカウンター右端の席に腰を降ろした。

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『なんだかこの感じ、懐かしいね』

夕方のまだ早い時間で、他のお客様がいない二宮さんと私の2人の時間。

結婚前の二宮さんは、こうして一人で毎日の様にいらっしゃっていた。

「偶々、私も同じ事思ってました。今日は奥様は大丈夫なんですか？」

私がそう問い掛けると、彼は生ビールを飲み干して

『うん、許可取ってあるから大丈夫』

なんて言って悪戯に笑った。

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『やっぱ、目。腫れてるね』

ハンバーグの仕込みをしていると、不意に二宮さんからそう言われて。

「あ…やっぱり分かります？お化粧で誤魔化せたかなと思ったんですけどね…」

私がそう言うと、彼は思わぬ言葉を口にした

『翔さんに泣かされた？』

思わず料理の手を止めて、二宮さんを見上げる。

そんな私に彼はニッコリ笑って

『翔さん、すげー良いオトコでしょ。泣けるくらい』

と言った。

その言葉にどう返せば良いか分からなくて、参っていると

『あの人は、オススメ物件だよ』

なんて、言うから

また

昨日、彼に触れられた頬や手から

熱が蘇ってくるような感覚を覚えた。