やさしい食卓一。【SS】 (ページ17)

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十七。兄妹ページ17

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『いや～Aちゃん、こんなに立派になっちゃって…』

『こりゃ、トシ子さん、心配いらねーよ』

『Aちゃん、本当にうんまいもん作るようになったな～』

『この壺焼きなんてトシ子さんの味とまるで同じだよ。泣けてくるよ…』

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集まった方は、殆どがおばあちゃんと同年代。

1年に1度の集まりに、みんな良い具合にお酒が進んで

あれやこれやと思い出話に花を咲かせる。

そうは言っても、毎年話す内容はさほど変わらない(笑)

話に参加しながら、私と智くんは

お料理とお酒の注ぎ足しに精を出した。

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『いや～その着物姿見ると、Aちゃんの料理姿とトシ子さんの面影が重なるな』

『こんなにべっぴんさんになっちゃって。年々トシ子さんに似てくるよなぁ』

良い加減に酔いの回った、大野のおじさんが私に言う。

「そうだと嬉しいんですけどね。料理は、まだまだおばあちゃんには及びませんけどね」

「ついでに魚捌きも智くんには敵いません」

私が戯けてそう言うと、すかさず智くんが

『いや、Aじゅうぶん上手いから！お前本当、上手くなったよ』

そう言って、私の頭にポンっと手を置いた。

その様子を見ていた大野のおじさんが口を開く。

『俺はAちゃんが智の嫁に来てくれるもんだとずっと思ってるんだが…どうなんだい？』

突然のおじさんの問いかけにポカンとしていると、慌てた智くんが

『おい、じーちゃん！飲み過ぎだぞ』

と言って、おじさんから焼酎のグラスを勢い良く取り上げた。

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智くんのお嫁さんかあ。

3つ上の智くんは、昔からお兄ちゃんみたいな存在だった。

考えたことなかったな。

「私なんかに智くんほどの旦那さんなんて、勿体無いですよ。だいたい、智くんに女として見られてる気が全くしないので(笑)」

私がそう言うと智くんは、少し何かを考えるような顔をしてから、ハッと顔を上げて

『…あっ、そうそう！もう、兄妹みたいなもんだしさ！な！』

智くんがそう宣言すると、みんなから残念そうな声が上がる。

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そっか。

みんなは、私たちのことそんな風に思ってたんだなあ…