【文スト】其の女、何故生きる① (ページ32)

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理屈ページ32

その頃探偵社では…

「敦くんが攫われました」

先刻入った、省庁幕僚の護衛の依頼で探偵社はごった返していた。

「捜索に避ける人手が無い
小僧の行先は掴めているのか」

白昼の路上で襲われてトラックに押し込まれ、その後の行き先は分かっていない、と谷崎が報告した。

だが、乱歩は敦を助ける必要は無い、と豪語した。

そこでナオミが社長を呼んだ。

「全員聞け、新人が拐かされた
無事連れ戻すまで現業務は凍結とする」

「社長、本当にいいの？
理屈で云えば～、」

「仲間が窮地、助けねばならん
それ以上に重い理屈がこの世にあるのか？」

こうして探偵社一同は敦の捜索を始めた。

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「……コレだ…！！！
………なに……！？！！？」

国木田が、誘拐を目撃した観光客から提供されたある1枚の写真を手に入れた。

そこにはありふれたタイプの偽装ナンバーのトラックが写っており、それはカルマトランジットという密輸業者上がりの運び屋の物だと云うことを賢治が突き止めた。

…そして、国木田には信じ難い人物が写っていた。

…………Aの姿だった。

「…何故、Aが此処に……？」

「…国木田、落ち着け、状況は」

混乱している国木田にしっかりしろと言わんばかりに、社長が口を開く。

「ッ……はい……
現在谷崎が現場で待機中、何時でも踏み込めます」

だが、谷崎が現場に行った時には時既に遅し。

その連中等は口封じに皆殺しにされていたのだ。

そこで社長は乱歩に、“褒める”事を餌に推理を頼む。

“褒める”その一言で乱歩は異能を使った。

「異能力超推理」

「敦くんの居場所は此処だ
速度は20ノット、公海に向かって進んでいる

死んではいないよ…今はね」

社長は国木田に、港にある社専用の小型高速艇に乗って敦を助けろ、と命じた。