意見の相違 ページ49
胸のつかえが取れる。
その笑顔で、すり減ったものが満たされていく。
「ありがとう……」
善逸は凄い。
たった一言で、この胸の穴を埋めてしまった。
穴を空けるのも埋めるのも、そもそも善逸にしか出来ないんだ。
きっとそれは、私が善逸しか見えていないからなんだろうけど……。
「だから、もう危ないことしないで。頼むよ…」
「ご、ごめん……あ、でもね!」
私は立ち上がって善逸の前に立つと、嬉しさを抑えきれずに
「頑張って信用を得られれば、隊士の訓練受けられるかもしれないの!」
「…………は?」
ポカンと口をあけて、有り得ないものを見るような目で私を見た。
「私も戦えるようになって、少しでも犠牲者を減らしたいの。そしていつか鬼舞辻を倒す!」
「いや……、いや、ちょっと待ってよ」
善逸は頭痛でもしているかのように片手を頭に添えて、もう片手を私に向かって突き出した。
「何言ってるの?聞いてた?危ない事しないでって、俺言ったよね?ちゃんと聞いてた?」
「うん。だから訓練すればいいでしょ。護身も出来て一石二鳥じゃない」
「は、はああ!?なんでそうなるの?隊士になるって事は、危険な任務に行かなきゃならないわけで!ついさっきまで死にかけてたくせに、どうやったらそんな発想になるの!?意味わかんない!!もう意味わかんない!!」
善逸がすごい勢いで立ち上ると、猛反論を始めた。
それも前のめりで迫る為、私は少しずつ後ずさって壁へと追いやられていく。
てっきり、善逸も喜んでくれるかと思ってたから、私は混乱した。
「頑張れ」って言ってくれるものだと思っていた。
「え、え……応援してくれないの?」
「するわけないじゃん!ダメダメ!絶対ダメ!!断固反対だよ!!ここに居れば安心安全なんだよ!?居てよ!!頼むからァ!!大人しくしてて!!」
その台詞にカチンとくる。
ここに居れば安全?
ただでさえ肩身も狭く息苦しいのに?
何の役にも立たない鬼が、人間社会でただじっと護られていろというのか?
あの劇場でしていたようにまた閉じ篭っていろと?
この鬼との戦が終わるまでずっと?
それって、いつまでなの?
──── また籠に入れっていうのか。
「連れ出したのはあんたじゃん。手に余ったらまた閉じ込めるんだ?」
「っ!?」
自分でも驚くくらい低い声だった。
善逸は目を見開いて、一瞬だけ言葉を詰まらせると、カッと顔に熱が帯びた。
「そんな事、言ってないだろ!?」
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maicoo(プロフ) - はなさん» ご指摘ありがとうございます!本当にすみません!誤字があると、フッとこう、現実に戻されますよね ; 気をつけなきゃ…(--;)こんな文章ですが、読んで下さってありがとうございます!更新頑張りますね!コメントありがとうー!! (2019年9月23日 3時) (レス) id: e4977cc5c7 (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - いつも楽しく読ませていただいてます!誤字なのですが、鬼血術ではなく、血鬼術だと思います...。これからも更新頑張ってください!応援しています!!! (2019年9月23日 1時) (レス) id: 0b253d056d (このIDを非表示/違反報告)
maicoo(プロフ) - カナリアさん» ですねw怒らせたら面倒な男上位に入ると私は思っていますwww続き楽しみにしていて下さい!コメントありがとうございます!!頑張ります! (2019年9月21日 14時) (レス) id: e4977cc5c7 (このIDを非表示/違反報告)
カナリア(プロフ) - 善逸お怒りですねぇwww続きすっごい気になる!更新楽しみにしてます! (2019年9月21日 11時) (レス) id: 0cf1c80018 (このIDを非表示/違反報告)
maicoo(プロフ) - モブさん» コメントありがとうございますー!!!!何だろ、二人を地獄に突き落とすのが好きみたいでこんなことに……wwもう、努力してもらうしかないですねw自分が言うなって感じですがw本当にコメント嬉しいです!頑張りますね!これからもよろしくお願いします!!!! (2019年9月19日 0時) (レス) id: e4977cc5c7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:maicoo | 作成日時:2019年9月12日 14時