喪失感 ページ40
もう涙が止まらない。
善逸に会う代償に、女としての大事なものを失ってしまった。
(これが……等価交換か………)
使い所を間違えながらぐったりしていると、恐る恐る炭治郎が声を掛けた。
「お、落ち着いたか？A、何があったかわからないけど、元気出してくれ」
「お、恐ろしい……血鬼術だよ……解けた後が、一番、辛いなんて………なんて術だよ……」
焦点の合わない目からは滝のような涙が流れる。
(どうせ……私はもう、穢れてしまったんだ……ははっ……)
自暴自棄になって打ちひしがれていると、善逸が目の前で膝をついた。
「鬼……いるんだろ？どこ？」
ああ、そうだ。と本来の目的が頭にスライドする。
心が痛んでも、任務は果たさなければならない。
むくっと起き上がって、掴んだ情報を全て話した。
「あの建物の最上階。日の当たらない北の部屋にいるよ。扉に鍵が掛かってるの……伯屍楼っていう男」
「それってあの責任者の息子？」
頷くと、善逸は「ふーん……」と一言だけ言った。
その声はいつもより低くて、少し不安になる。
「あとね、�狄�糧庫�瓩辰童世辰討燭痢�消えた女の子達、きっとそこに居る。さっきの私みたいなのが続くと、なんていうか……抜け殻みたいになるの。頭の中に霧がかかって、何も考えられなくなる……早く助けなきゃ！！」
「炭治郎は禰豆子ちゃん連れて行方不明の子達を探してくれ。炭治郎は鼻が利くし、禰豆子ちゃんなら術を解けるだろ」
「あ、ああ。わかった！善逸はどうするんだ？」
寝てないのに的確な指示を出す善逸に、炭治郎は少し動揺しつつ聞くと彼は短く答えた。
「俺はそいつに用がある」
完全に目が据わっている。
私はその袖を掴んだ。
「私も行く」
「Aちゃんはここで待ってて」
当然ながら反対されるが、食い下がった。
なんと言われようと引けないものがある。
「ううん、行かせて！私がいればあの部屋に入れる。それに……」
沸々と湧く怒りが体温を上げていく。
殴らないと気が済まない。
「随分と世話になったんで、お礼をしなくては…」
どんどん目が据わっていく私に、善逸もそれ以上言えなくなったのか、「う、うん」と頷いた。
それから善逸は立ち上がると、「そうだ」と思い出したように呟いた。
「この件が片付いたら、俺も君に聞きたいことがある」
その声は冷静沈着で、その静けさが空気を一気に冷却させた。
(善逸、君……怒るとめちゃめちゃ怖いな……！)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 287人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
maicoo(プロフ) - はなさん» ご指摘ありがとうございます！本当にすみません！誤字があると、フッとこう、現実に戻されますよね ; 気をつけなきゃ…(--;)こんな文章ですが、読んで下さってありがとうございます！更新頑張りますね！コメントありがとうー！！ (2019年9月23日 3時) (
レス) id: e4977cc5c7 (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - いつも楽しく読ませていただいてます！誤字なのですが、鬼血術ではなく、血鬼術だと思います...。これからも更新頑張ってください！応援しています！！！ (2019年9月23日 1時) (レス) id: 0b253d056d (このIDを非表示/違反報告)
maicoo(プロフ) - カナリアさん» ですねw怒らせたら面倒な男上位に入ると私は思っていますwww続き楽しみにしていて下さい！コメントありがとうございます！！頑張ります！ (2019年9月21日 14時) (レス) id: e4977cc5c7 (このIDを非表示/違反報告)
カナリア(プロフ) - 善逸お怒りですねぇwww続きすっごい気になる！更新楽しみにしてます！ (2019年9月21日 11時) (レス) id: 0cf1c80018 (このIDを非表示/違反報告)
maicoo(プロフ) - モブさん» コメントありがとうございますー!!!!何だろ、二人を地獄に突き落とすのが好きみたいでこんなことに……wwもう、努力してもらうしかないですねw自分が言うなって感じですがw本当にコメント嬉しいです！頑張りますね！これからもよろしくお願いします!!!! (2019年9月19日 0時) (レス) id: e4977cc5c7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：maicoo | 作成日時：2019年9月12日 14時
