奇跡のよう ページ25
「あの、ところで……不死川さん、大丈夫でした?」
任務の話が一段落して、おずおずと聞いてみると、しのぶさんはきょとんとしてから、プッと吹きだした。
「ええ、あれくらい何ともありません。……まあ、もの凄く怒っていましたけどね」
「良かった……私、カッとなっちゃってつい……」
ホッとしてから、ん?とおかしな事に気がつく。
(てか、私の手首は折れたのに、大丈夫だったんだ……)
人間の体なのに化け物並に頑丈なんだな、と驚愕していると、しのぶは呆れたように微笑んだ。
「不死川さんが心配ですか?あんな事をされたのに?」
「嫌悪を抱くのは当然だと思います。私が鬼舞辻を憎んでいるように……」
目を伏せるとしのぶが問う。
「Aさんが剣術を学びたいのは、鬼舞辻を倒す為だけですか?」
何が言いたいのか分からず、首を傾げる。
彼女から発せられる空気が複雑な様に、不思議な人だ。
「こんなに想ってもらえるなんて幸せ者ですね、我妻くんは」
「っ!!!?」
思わずベッドから転げ落ち、目を白黒させながらしのぶを見上げる。
(───えっ、え!?バレてる!!何で!?)
斬首という文字が頭を過ぎり、真っ青になっているAに、しのぶは優しく声を掛ける。
「公認となった今、あなたが人を襲わない限り、彼が処罰される事はないので安心してください。ちなみに、この事を知っているのはお館様と私だけです。他の柱の方々にはそのうち広まるでしょうが、彼に手出しは出来ませんよ」
「本当?本当に大丈夫ですか!?」
「本当です。彼は報告義務も果たしているので非はありません」
それを聞いてようやく安堵し、盛大なため息と共に脱力した。
(善逸さえ無事ならいい……。でも、あれ……?)
それなら、私が会議でやった事は……?
善逸が処罰にならないなら、自ら焼身したのはなんだったのか?
愕然していると、察したしのぶはくすくすと笑った。
「無意味ではありませんよ、あれで流れは大きく変わったはずです。……よく、頑張りました」
頭を優しく撫でられると、また泣きそうになって俯いた。
「それにしても……我妻くんですか….…」
しのぶが疑問を抱くように呟いたのに対し、ムッとして反論する。
「でも、王子様みたいなんです!」
「………」
自信満々に言うと、しのぶは俯いた。
よく見ると、肩を小刻みに揺らしている。
「な、何で笑うんですか!?」
「Aさんは、まるで奇跡のような方ですね」
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maicoo(プロフ) - はなさん» ご指摘ありがとうございます!本当にすみません!誤字があると、フッとこう、現実に戻されますよね ; 気をつけなきゃ…(--;)こんな文章ですが、読んで下さってありがとうございます!更新頑張りますね!コメントありがとうー!! (2019年9月23日 3時) (レス) id: e4977cc5c7 (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - いつも楽しく読ませていただいてます!誤字なのですが、鬼血術ではなく、血鬼術だと思います...。これからも更新頑張ってください!応援しています!!! (2019年9月23日 1時) (レス) id: 0b253d056d (このIDを非表示/違反報告)
maicoo(プロフ) - カナリアさん» ですねw怒らせたら面倒な男上位に入ると私は思っていますwww続き楽しみにしていて下さい!コメントありがとうございます!!頑張ります! (2019年9月21日 14時) (レス) id: e4977cc5c7 (このIDを非表示/違反報告)
カナリア(プロフ) - 善逸お怒りですねぇwww続きすっごい気になる!更新楽しみにしてます! (2019年9月21日 11時) (レス) id: 0cf1c80018 (このIDを非表示/違反報告)
maicoo(プロフ) - モブさん» コメントありがとうございますー!!!!何だろ、二人を地獄に突き落とすのが好きみたいでこんなことに……wwもう、努力してもらうしかないですねw自分が言うなって感じですがw本当にコメント嬉しいです!頑張りますね!これからもよろしくお願いします!!!! (2019年9月19日 0時) (レス) id: e4977cc5c7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:maicoo | 作成日時:2019年9月12日 14時