第20講 ページ20
今後…何十年。
それ…って、さ。
「……っ…一織くん…?どうい……え…?」
…やだ。さっきの言葉を変に意識してるって思われたくないのに。というか、論点はそこじゃないのに。
突然の一織くんの爆弾発言に、顔全体にみるみる熱が広がっていく。
____そして、一織くんには絶対隠せない。
一織くんはそんな私を見つめ、そして私が何を考えているのかだいたい気づいたのだろう…眉をひそめて少し照れた表情になった。
あっ…… これは、誤魔化されちゃうかな?私もすぐ照れちゃうから、人のこと言えないけど…
すると一織くんは眉をひそめたまま少しそっぽを向いて、ぽつりと言った。
「…どう捉えて頂いても構いませんよ。きっと、同じことを考えていますから。」
__照れてしかめられる表情、そらす視線、顔は耳から赤くなるところ……
その仕草は何一つ…何一つ高校生の頃と変わっていないのに。
もう決して私との未来を誤魔化さないんだね。私の気持ちになんでも気づいてしまうんだね。
何十年先も……一緒にいていいのかな。一織くんと。
ううん、一緒にいたい。
黙ってちゃダメだ。これを、言葉にしなきゃ…
昔から、甘えること、頼ることが何よりも苦手だ。
自分が我慢すれば、大抵の事は上手くいく。
特別可愛く生まれたわけじゃないから、上手く甘えることもできないし、その効果も望めない。
そうやって我慢してきた本当の自分を、一織くんは何度も解き放とうとしてくれた。
部費事件で濡れ衣を着せられたときも。
全国大会が決まったあと、一織くんの前で隠そうとした涙も。
そして……想いを伝えあったときも。
一織くんは「私」を見てくれて、引っ張り出してくれた。涙も本音も、隠さなくていいんだと。
やっとわかった。
「何十年先もずっと、一織くんと一緒にいたい」…って。これが私の本音。嫉妬や不安よりも先行している、私の本音。
言葉にしたいのに、緊張して喉が塞がる。
自分から「こうしたい」って言うこと…こんなに難しいことだったんだ。
「…Aさん、何か我慢してませんか?」
……もうバレてる。
きっと遅かれ早かれ、私の本音にも気づく。
…それなら。
「…私…今から、わがまま言うけど…いいかな。」
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アイリス(プロフ) - 毎話コメントはしていないのですが通知が来る飛んでいくんですよ😂時間があれば読み返したりして何度も楽しませてもらっています!こちらこそいつも素敵な物語をありがとうございます🙇 (2022年3月6日 22時) (レス) @page32 id: 01923abc00 (このIDを非表示/違反報告)
なたね(プロフ) - アイリスさん» アイリスさん!😳ご無沙汰しております😢そうですね、2人の心と天くんの心に注目して見守って頂ければと…😌今日の夜また更新予定なのでぜひまたよければ覗きに来てくださいね☺️いつも本当にありがとうございます!<(_ _*)> (2022年3月3日 11時) (レス) id: 1ba5a28d82 (このIDを非表示/違反報告)
アイリス(プロフ) - こんにちは!これからどうなるんだろう…!とドキドキしました😳だけど2人の心が離れることはないと思うので、嫉妬かわいい〜と楽観的に読ませて頂きます😂 (2022年3月2日 22時) (レス) @page29 id: 01923abc00 (このIDを非表示/違反報告)
なたね(プロフ) - monaさん» 更新するする詐欺になってしまっているのですが🥲2月半ば以降は繁忙期から解放されるのでガンガン更新していきます🙇♀️それまで宜しければお待ちください☺️コメが届いたので飛んできましたが、嬉しいお言葉有難うございました…!! (2022年1月28日 3時) (レス) id: 1ba5a28d82 (このIDを非表示/違反報告)
なたね(プロフ) - monaさん» monaさんコメントありがとうございます!なんて嬉しいお言葉でしょう🥲一織の口調や行動はかなり気をつけているので、そう言って頂き安心致しました…!アイナナ愛、感じてください…!☺️最近全然覗けてなくて(続きます💦) (2022年1月28日 3時) (レス) id: 1ba5a28d82 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なたね | 作成日時:2021年4月29日 0時