検索窓
今日:17 hit、昨日:21 hit、合計:10,165 hit

.  ページ20

黒蜥蜴の一員である立原が真っ先に駆けつけ、その獣へ銃を夢中で撃った。

「大丈夫か、姐さん」

しかし、銃弾を飲み込む獣に立原は驚き、銃を撃つ手を下ろす。

「どうなっているんだ!?」

「立原、辞めなさい。銃弾の、無駄、だ」

足首を押さえ、樋口は精一杯立原に呼びかけた。

「はぁ?そういうことは早く言えよ」

無駄にした銃弾を見てうなだれる立原に、獣が襲いかかろうとしている。

此奴の異能力は、『どん底の獣畜』。子供の作成した資料によると、自身の分身を獣化する能力だ。

「面白い」

忌部へ向けた醜悪な笑みは、自分でも狂乱していると感じた。

「私の両親、弟、夫。愛する家族を殺害したのは貴様らかっ!おい、答えろ。貴様らか」

「嗚呼、そうだ。貴様の愛する家族とやらは僕が殺した。『貴様ら』では無い、僕一人だ。だが喚くな」

ただ真実を告げ、五月蝿い獣の腹を羅生門で刺す。

「へぇ、良い異能」

呻き声ひとつあげない忌部に、抱いた違和感は大きい。

「どうしても、そちら()に意識が向くのだな。マフィアには阿呆共しか居ないのか?」

忌部は獣の腹を撫でながら言う。『獣には攻撃が効かない』と自分から教えた忌部。

「阿呆はどっちだ、愚者め」

獣の姿である忌部に、攻撃は効かない。ならば、僕と会話している本体―人間の姿の忌部を殺すまでだ。

忌部の背中を刺した羅生門。

しかし、僕の背中に槍となった黒獣が突き刺さっていたのだ。

「何っ…!?」

「勿論、阿呆は貴様の方だ、芥川。調査不足だな」

自分の背中から出る赤い血に驚く僕を、忌部は嘲笑った。殺すつもりで刺した故、自分の受ける傷は深い。

「先輩!」

ふためき慌てる樋口。

「兄人っ!?」

駆け寄る立原。真逆、自分の羅生門に刺されるとは―。

「どん底の獣畜」は、自分の分身を獣化する能力では無いのか―?

気配すら感じさせず、本体の忌部に近づいて細い刃物で喉を突く影。

「可哀想に。突然遊んで貰えなくなってしまったな、獣よ」

しかし忌部は無傷だ。余裕そうに獣に話しかけている姿は腹立たしい。

影の正体、銀の首から飛ぶ血。

これは子供の調査不足か、それとも何か思い違いをしていたのだろうか。

忌部を疑い睨むように見ている僕に、谷田は銃口を向けて近づいた。

そして忌部に言う。

−殺します。

「嗚呼、殺せ。芥川も大したことないなぁ」

忌部は、広げた手を顔に当て笑っている。

. →←. 


  • 金 運: ★☆☆☆☆
  • 恋愛運: ★★★☆☆
  • 健康運: ★★★★★
  • 全体運: ★★★☆☆

ラッキーアイテム

革ベルト

ラッキーカラー

あずきいろ

ラッキーナンバー

8

ラッキーアルファベット

X

ラッキー方角

西 - この方角に福があるはずです

おみくじ

おみくじ結果は「末凶」でした!


目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (51 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
43人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:とおゆち x他1人 | 作成日時:2023年4月22日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。