【中島敦】愛しい君の過去へ【文スト】

拾伍〜あと一歩〜 ページ16

花「とった！」

「おっけー！急ご！」


すぐに敦のとこに戻ろうとすると、大人の声がした。

２人で顔を合わせ、頷きあう。




ここからは、慎重に。



そして、急ごう。





私たちは足音をあまり立てないように走って、鍵を敦の牢屋の扉に突っ込む。



敦はまだ決心に至ってないようで、ぞっとしていた。


ガチャ。









大きな音がなってしまった。


バタバタと音がする。


花「君！早くたって！行くよ！」

敦「でも…！」


「敦！！！！！」


お願い、君を守りたいだけだから。



私の一括で、なにかが分かったのか、決意したように立ち上がって私の手を取った。



『おい！！！』



しまった。


そう思った時には、そこに大人がいた。



こっちに来る…！



私たちは地面を蹴って走り出す。


こんなに走ったのは、たしか高校のマラソン大会以来だ。


ずっと、吹奏楽部だったから。






はぁ、はぁ、と息切れする。



やばい、追いつかれる。



そう思った瞬間、私は何者かに頭を掴まれもう走れなかった。




敦「！！A！！」


花「そんな！」








彼等も、私に構うように止まってしまう。


しかし、たしかに後ろからまだ大人が来る。





彼等だけは、逃げなければいけない。









「逃げて…！早く！！！早く行けよ！！！！！」



怒鳴るように叫んで、彼等を睨みつけた。

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