第十一章『Alice in the Garden《スノーリリイ》』【3】 ページ22
「ほらっ。これが小学校入学式の時の写真でね! かわいいだろ!? ランドセルが大きすぎてねぇ。少し小さめのを特注したんだよ。懐かしいなぁ〜〜〜〜〜〜」
テーブルの上に広げられたアルバム写真、そこに映っているのは、幼少期の御園であり。
いまとは違い、子供らしく愛らしい笑みを浮かべたものばかりで。
でれ―――――〜〜〜〜〜〜と相好を崩しながら、その写真を指差しつつ語るのは、御園の父親である有栖院御門だった。
お茶会に姿を現した王様と呼ばれる御門が席に着いてから暫くの間。
真昼とクロと瑠璃の表情もまた強張ったものだったのだが―――――その席で御門が愛息である御園の写真披露を始めたことにより。
その場の空気は緩やかなものに変わり、その中で二人は最初こそ、アルバムに関心を向けていたのだが。
山のように積み上げられたアルバムを何冊も披露され、親バカとしか言いようがない話を延々と聞かされる中で、徐々に真昼はゲンナリとした表情を隠すことが出来なくなり。
瑠璃は何とか笑みを浮かべてはいたが、その表情はもはや愛想笑いに近いもので。
端の席に座っているクロに至っては、あきた・・・と言わんばかりに、人型でテーブルに伸びながら居眠りをしている始末だった。
けれど、アルバムの写真を見せることに夢中になっている御門はその様子が目に入っていないのか。
「こっちが父の日に御園が描いた絵でね。パパへの愛情たっぷりでよく描けてる!」
ひたすら話し続ける御門に「はぁ・・・」と真昼は仕方なく相槌を打っていたのだが。
アルバムに関心を示すことはなく、瑠璃と交代する形で下位の子供たちの遊び相手をしていた鉄が、子供の中の一人を抱き上げた刹那。
きゃ―――――という、子供のはしゃぎ声が聴こえてくるのと同時に「こっちは・・・はっ!!」と御門もまた唐突に声を上げると、ガタと椅子から立ち上がり、
「い・・・いくら幼少期の御園がかわいいからって」
声を震わせながら言葉を紡ぎ出した御門を真昼もまた「は?」と眉を顰めながら見返すと。
「貴様たち!! 私の息子を性的な目で見るな!!」
眉を吊り上げながらそう叫んだ御門の眼鏡のレンズがパァンと砕け散ったのだ。
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作者名:朱臣繭子 | 作成日時:2019年8月7日 23時