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第六章『祭りの序曲』【2】 ページ30

そして御国が、テーブルを揺らしたことで、駄目になってしまった分の代わりの飲み物を、新しく瑠璃が購入して戻って来た処で―――――

「御園に君達みたいな友達ができてオレは嬉しいよ。御園は昔から体が弱くて・・・小さい頃はほとんど家から出られなくてね」

 右手で頬杖をつきながら、左手にコーヒーのコップを持った御国は、しみじみとした様子でそう言葉を洩らすと、

「そんなわけでオレの御園コレクションを披露しようか?」

 性的な目で見ないでね♥ 殺すぞ♥ と、含み笑いを浮かべながら、リュックの中から、大量の写真を取り出して見せたのだ。

 そんな御国の言葉に「誰が見るか!!」と真昼が突っ込みを入れたのは言うまでもない。

「うわっ、これ御園!? すげー笑ってる・・・」

「昔の御園君って、今とはまた雰囲気が随分と違ったのね」

 いまの御園は、俗にいうツンデレというタイプだが、幼い頃はその年相応の性格だったようだ。
 そして写真には御国が一緒に映っているモノもあったのだが、そこでふと瑠璃は違和感を覚え、御国のほうを見遣る。



 ―――――どうして小学校低学年くらいまでの写真だけなのかしら・・・・・・。



 それに真昼も気づいたようで、怪訝そうに眉を寄せたのだが、二人が何か云うよりも前に、御国は写真を片付けてしまい。



「オレは吸血鬼(サーヴァンプ)については御園より詳しいんだ。椿を倒すのには協力したい」

 吸血鬼という単語を口にした刹那、冷ややかな眼差しになった御国は、「・・・オレが君達の言う『壊さない』に賛同するかは別としてね」とぼそと小声で言い添えたのだ。

「御国さん・・・」

 『倒す』―――――『壊す』―――――それをするのではなく、あくまでも、椿が戦争をするのを止めたいのだ。

 御国の言葉に、思わず瑠璃が眉を顰めると―――――

「まず! オレがキミ達に接触を試みた2つの理由を披露しようか?」

 そう言いながら御国は此方に向かって、2本の指を立てた状態で腕を突き出してきたのだ。





※占ツク転記/18/11/23
【本館/別館/18・11/23掲載】

朱臣繭子

第六章『祭りの序曲』【3】→←第六章『祭りの序曲』【2】



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マユ(プロフ) - 千佳華さん» お祝いのコメント&感想、有難う御座います。夢主のクロへの告白、グフッとなって頂けたなら何よりです♪ (2018年10月13日 23時) (レス) id: 6997652f0b (このIDを非表示/違反報告)
千佳華(プロフ) - 続編おめでとうございます!『クロ、好きだよ』に思わずグフっとなりました← (2018年10月13日 22時) (レス) id: 6ba1c8129e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:朱臣繭子 | 作成日時:2018年10月13日 22時

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