第三章『アリス・イン・ザ・ガーデン』【2】 ページ29
リリイのあれは、最早止めることが出来ない、脱ぎ癖?というものなのだろうか。
瑠璃が苦笑いを浮かべると、傍らのスリーピーアッシュが言った。
「変わってねーなーお前・・・」
「あなたもお元気そうで何よりです。瑠璃さんも、先日ぶりですね。手の怪我はもう大丈夫ですか?」
「えぇ。スリーピーアッシュに手当てをして貰って綺麗に完治してるから大丈夫よ」
肩越しに振り返ってきたリリイに瑠璃は、右手の平を見せながら笑みを浮かべて頷く。
「そうですか、それなら良かったです。では、さあどうぞ中へ」
するとリリイも微笑を浮かべて、建物の中へと誘ってきたのだ。
「今の名前はクロ・・・と仰るんですか。こうして顔を合せられて嬉しいですよ。何十年ぶりでしょうねぇ・・・」
感慨深げに話しながら、先に扉を開いて入室したリリイに、本館より規模は縮小されてはいるが、それでもやはり広い室内の様子に、でか―――――・・・と呆然としながら見回した真昼が呼び掛ける。
「あっ・・・あのリリイ・・・さん。この前は助けてくれてありがとう・・・」
「リリイで結構ですよ。真昼くん? 勝手ながらひと肌脱いでおきました」
真昼の言葉に、にこと、笑みを浮かべるとリリイは、上の服をすかさず脱ぎながら、そう告げてくる。
「脱ぐな。キモイから」
それに対して真昼は冷然とした面持ちで切り返す。
しかし、真昼の手厳しい対応に、リリイは気分を害した様子もなく、おや・・・と肩を竦めると、服装を直して話を続ける。
「あの手品師の時にも、実は後始末にひと肌脱いだんですよ? お聞きになったかもしれませんが、瑠璃さんにはその際に一度こちらに来て頂いて、少しお話をさせて頂きました」
「そうらしいな。・・・瑠璃姉の事も含めて、ありがとう。味方に会えてよかったよ。俺、教えて欲しいことが色々・・・」
わかんないことばっかりで・・・と、それに対して真昼も、そう言葉を返したのだが―――――。
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作者名:朱臣繭子 | 作成日時:2017年5月22日 18時