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第十八章『許すものと赦されざる存在』【2】 ページ37

「ねえ、同じこと考えてよ。同じこと喜んでよ。同じこと悩んでよ。同じこと憤ってよ。同じこと悔やんでよ。『君もそう思うでしょ?』の問いに『イエス』か『ノー』で答えてよ。それ以外は要らないんだ。そうやって僕のことを理解して君のこと理解させてよ。そうじゃなきゃ孤独だ。でもそんなのは孤独だ。だから孤独だ」


その悲憤慷慨(ひふんこうがい)に満ちた椿の言葉に、クロと瑠璃は戦慄を覚えていた。

「人は理解できないものを拒否する。拒否することでしか自分を守れない。価値観の揺らぎは世界の崩壊だ」

 それを見透かしたような言葉を、さらに椿が紡ぎ出すと。

「さあ、世界崩壊へのカウントダウンだ」

 ―――――8―――――

 椿の背後には幻術によって作り出された数字が浮んでいて。

「・・・先生はまだここにいるよ」

 ―――――7―――――

「・・・心の中にとでも言いてーのか?」

 椿が漏らした言葉に、クロが眉を顰めながら聞き返すと。

「あはっ。君、そんな冗談言うキャラだったんだ!?」

 ―――――6―――――

「C3はきっとよく知ってると思うけどなあ?」という椿の言葉に、クロが呆然とした面持ちで固まる。

 ―――――5―――――

 すると、椿は自分の傍に近づいてきた灰塵の欠片を、漆黒に染まった右手の人差し指で示し。

「ねぇC3が灰塵の除去をしているのは知っているでしょ? 本当は、あれは『除去』じゃなくて・・・」

 ―――――4―――――

 そっと両掌の中に、囲むようにしながら、椿は口端を吊り上げて告げてくる。

「『貯蔵』。これはとっても使えるからね・・・僕も少し分けて貰おうかと思ってるところだ」

 ―――――3―――――

「椿・・・・・・っ!?」

「使う・・・って」

 瑠璃とクロが驚きに目を見開くと、再び刀を左手に顕現させた椿は、

「死んでくれたら教えてあげるよ、お兄ちゃん?」

 そう言いながらクロの喉元に刃を突きつけたのだ。









+++++++++++++
※占ツク転記/20/11/27
【本館/20・11/28/別館/20・11/28掲載】

朱臣繭子

第十八章『許すものと赦されざる存在』【3】→←第十八章『許すものと赦されざる存在』【2】



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マユ(プロフ) - 感想&応援メッセ下さって有難う御座います!こうしてコメントを頂けるのは本当に嬉しく励みになります!これからも頑張って書き進めていきます! (2020年11月28日 0時) (レス) id: 58c018d700 (このIDを非表示/違反報告)
らぶたん(プロフ) - 今回も面白かったです。これからも応援しています! (2020年11月27日 23時) (レス) id: 74fbd3ebea (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:朱臣繭子 | 作成日時:2020年10月25日 13時

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