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第十三章『消せない罪』【2】 ページ30

祖父母と両親―――――『家族』みんなで食事をした時のこと。

 他人からみれば当たり前の事かもしれないが、けれど両親が多忙であったことからその時間もまた瑠璃にとっては大切な『思い出』だった。

 けれど何故、いまこの場において自分たちの中に在った幼い頃の記憶が呼び覚まされたのか。

 思考を正常な状態に戻そうと、無意識において自身の頭を右手で押さえる仕草をした真昼と瑠璃は、ふと、左手で額を押さえる仕草をしながら、視線を俯けているロウレスの姿を目にし―――――

「オフィーリア・・・、・・・くそ・・・これはオレの・・・いい思い出じゃないんだって・・・」



 ―――――過去の記憶。それを見せられてる・・・!?



 ロウレスが漏らした言葉により、自分たちはリヒトのピアノ演奏によって、深層意識の内に在った記憶を蘇らされたのだと理解したのだが―――――。

 ―――――クロは大丈夫なのだろうか。

 先程、リヒトの手によって、壁に拘束されてしまったクロの様子を確認する為に、真昼はゆっくりと視線を向けていく。

「ク・・・・・・」

 と―――――

 ギチッ、ギッ・・・と体を拘束している、真昼の武器をいまにも引きちぎりそうなほどの殺気を迸らせるクロの瞳は暗く濁ったモノに変貌していて。

 ぞっ、と真昼は恐怖を感じてしまう。

 

 ―――――・・・・・・クロ・・・・・・っ



 そして瑠璃もクロの殺気に対し、体が委縮するのを感じていた―――――

 それでも何とか立ち上がり、クロの傍に向かおうと舞台から下りた処で。

「あ―――――もう・・・リヒたんのピアノのこれ・・・だけは許せないんっスよお!!」

 は、は、と苦痛の吐息を漏らしながら、リヒトのほうを見遣ったロウレスが、そんな風に叫び声を上げるのと同時に右手にレイピアを構えるとダッと駆け出して行って。

 ロウレスが向かって来るのに気づいたリヒトも、すぐさま椅子から立ち上がると、攻撃態勢に入ろうとしたのだが。

 その時、バンとホールの扉が開いて、

「ギル!! 2人を止めろ!!」

 姿を見せたのはあの外国人男性で。

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マユ(プロフ) - 楓さん» 前作に続き、今作にもコメント下さいまして有難う御座います。ロウレスが夢主にオフィーリアの姿を重ねる話は他の方も結構書かれていたりする為。お約束は出来ませんが・・・・。今作も頑張って書き進めていくつもりですのでお付き合い頂けましたら幸いです! (2020年2月15日 18時) (レス) id: aafe96c388 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 今回のもとても面白かったです!出来ればなのですが、夢主さんをオフィーリアと似ているって思うロウレスって出来ますか?この小説とても面白いので、頑張って下さい! (2020年2月15日 10時) (レス) id: ccd9ca707d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:朱臣繭子 | 作成日時:2020年2月15日 1時

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