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第十三章『消せない罪』【2】 ページ29

しかしリヒトはそんな真昼の反応に構うことはせず、「貸せ」と一言だけ言い放つと―――――。反射的にそれに従った真昼の手の中から、パシッと武器であったホウキを取り上げたリヒトは、その柄の部分の両端を左右の手で握ると、ぐにゃっと曲げてしまい。

「ちょっ・・・えええええ!?」

 その行動に愕然となった真昼の目の前で、ブンとまるでブーメランを投げるかの如く、それをクロ目掛けて放つと、ガシャン!とクロの上半身が拘束されてしまったのだ。

「そ・・・そんな使い方・・・」

 唖然とした面持ちで真昼は呟く。

 と―――――

「うるせえっつってんだろ。てめえらに今、許されてんのはただ黙って俺のピアノを聴くことだけだ」

 そう言い放ったリヒトの足元からズズッと黒い影が立ち昇ると、彼のもう一つの武器であるピアノがその場に具現化したのだ。

「涙しろ」

 そしてリヒトがそう言いながら鍵盤に指を滑らせてポーンと鳴らすと―――――その音に真昼の意識は取りこまれていき。

「な・・・何だこれ!?」

 確かな存在感を感じさせる音色の渦が周囲に飛び始めて。

「あっ・・・・・・?」

 混乱した様子で眉を顰めた真昼の瞳には気づけば涙が浮んでいて。

 ぽろとそれが流れ落ちた刹那―――――

 真昼の意識の中に浮かび上がったのは幼い頃の自身の姿と亡くなった母親の姿で。

 微笑みを浮かべた母親が差し伸べてくれた左手に頭を撫でられると、次々と懐かしい思い出が蘇ってきて。

「あ・・・っ? 母・・・さん・・・・・・? なんで・・・こんな・・・」

 胸の内に溢れてきた亡き母親に対する思慕の情に、真昼は呆然と涙しながら呟く。

 一方、瑠璃も―――――

「・・・・・・お祖父ちゃん、お祖母ちゃん・・・・・・お父さん、お母さん・・・・・・」

 今は亡き、祖父母と両親の姿を、意識の内で幼い少女の姿となって思い出していた。

 以前、椿に話した祖父母との思い出や、クロに話した両親に夏祭りに連れて行って貰った時のことだけでなく。

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マユ(プロフ) - 楓さん» 前作に続き、今作にもコメント下さいまして有難う御座います。ロウレスが夢主にオフィーリアの姿を重ねる話は他の方も結構書かれていたりする為。お約束は出来ませんが・・・・。今作も頑張って書き進めていくつもりですのでお付き合い頂けましたら幸いです! (2020年2月15日 18時) (レス) id: aafe96c388 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 今回のもとても面白かったです!出来ればなのですが、夢主さんをオフィーリアと似ているって思うロウレスって出来ますか?この小説とても面白いので、頑張って下さい! (2020年2月15日 10時) (レス) id: ccd9ca707d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:朱臣繭子 | 作成日時:2020年2月15日 1時

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