第十一章『Alice in the Garden《スノーリリイ》』【6】 ページ7
「御園・・・私から離れて・・・っ。ミソノ、チガウ、イカナイデ・・・コッチニキテ」
一方、リリイのほうは、まだ微かに理性が残っているかのように思われたのだが、その口から紡ぎ出される言葉は、徐々に混濁したモノに変わっていき。
右手で胸を押さえながら、左手を御園に向かって伸ばしていたリリイの周囲に広がる黒い沼のようなモノの中からは、漆黒の蝶が生まれ始めていた。
そしてリリイ自身の口からもまた、同じモノが吐き出されていて―――――
「コッチニ・・・みその」
暗く濁った瞳でリリイが御園を見つめながら名前を呼んだ刹那の事だった。
ぶわ―――――と無数の漆黒の蝶が御園の全身を拘束するように襲い掛かり。
「御園君・・・・・・っ!?」
すぐさま瑠璃が『鍵』の力を発動させようとしたものの間に合わず。
その次の瞬間、蝶の姿はリリイに変わっていて、ガと御園の首筋に噛付いていたのだ。
さらにそのまま、ズズズズズズズズと御園の身体は漆黒の影のような状態になったリリイの中に沈み込んでいき―――――
ゴクンとそのまま飲み込まれてしまった処で、ト―――――ンと御園の靴が片方だけ、地面に転がり落ちたのだ。
吸血鬼が主人を喰らう―――――衝撃的すぎるその光景に、瑠璃と真昼は戦慄を抱いていた。
「御園君!!」
「クロ!! 御園が!! 嘘だろ・・・っ」
「落ち着け、まだ・・・死んだわけじゃねぇ。・・・中にいる」
クロもまた愕然とした面持ちで、リリイを見ていたのだが、
「じゃあ・・・引っ張り出せるの!?」
抑揚のない声音でクロが告げてきた言葉に、瑠璃が右手で『鍵』を握りしめると、
「俺がクロに飲まれそうになった時は御国さんが止めてくれた・・・けど御国さんはいない・・・っ。・・・シンプルに考えて俺達でリリイを止めるしかないだろ!!」
真昼もまた気持ちを奮い立たせるように言葉を紡ぎ出すのと同時に、ばっと右腕をクロに差し出して血を飲ませたのだ。
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マユ(プロフ) - 楓さん» コメント、有難う御座います!又、ロウレスの登場、楽しみに待って下さっていたとの事で。ここまでお付き合い下さっている事に本当に心よりお礼を申し上げます!加えて、凄く面白いと言って頂けて本当に励みになりました。不定期更新ですが頑張って今年も執筆しますね! (2020年2月4日 21時) (レス) id: aafe96c388 (このIDを非表示/違反報告)
楓(プロフ) - ロウレスの登場、ずっと楽しみにしていました!この作品、凄く面白いので、これからも更新頑張って下さい!! (2020年2月4日 20時) (レス) id: 4f59bad892 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朱臣繭子 | 作成日時:2019年11月9日 23時