第十二章『天使か悪魔か』【1】 ページ48
クロが紡ぎ出した言葉に、真昼が困惑の表情を浮かべてしまった一方で、瑠璃はそんな想いを心中で巡らせながら、眉を下げつつクロを見つめる。
と―――――
「・・・・・・瑠璃、そこの自販機でジュース買うの付き合ってくれるか・・・・・・」
瑠璃の視線に気づいたクロは瑠璃の左手を右手で握りながらそう告げてきて。
「え? えぇ・・・・・・・」
唐突なクロからの申し出に、瑠璃は目を瞬かせつつも頷き返すと。
「真昼、小銭もらうぞ」とクロは自販機があるほうに踵を返す前に、真昼が羽織っていたジャージの上着のポケットの中を左手で探りながらそう言い。
「ちょっ・・・クロ!! 尾行の途中でジュース買う奴がいるか!」
その行動に対して真昼は、驚きながらすぐさま突っ込みを入れたものの、耳を貸す様子が無いクロに代わって「ごめんね、真昼君」と瑠璃が詫びを口にすると。
「―――――瑠璃姉が謝る必要は無いよ。ただ、クロはすぐそうやってはぐらかすから・・・・・・」
真昼は嘆息交じりにそう言いながら、クロがジュースを買いに行く事を許したのだが。
―――――・・・・・・そっか・・・
―――――クロってめったに自分の話しないな・・・。
―――――瑠璃姉に対しては、もうちょっとちゃんと話したりしてるのか?
瑠璃を連れてジュースを買いに行ったクロの背中を見ながら真昼は逡巡する。
「っとに・・・瑠璃が一緒とはいえ、こんな下手な尾行なんかして大丈夫かよ・・・」
それから程なくして此方に戻ってきた処で、めんどくせ・・・とジュースを飲みながら不満を漏らしたクロに対して真昼は―――――
「御園とリリイは今戦えないし、それに鉄が年下って聞いちゃったら・・・瑠璃姉と俺が行動するしかないだろ! それに・・・瑠璃姉だけじゃない。俺とお前の3人だろ! クロにとって俺はまだ頼りないかもしんねーけど・・・俺もクロとちゃんと向き合っていきたいって思ってっからな!」
真っ直ぐにクロを見据えて真昼はそう宣言すると、尾行を再開して目線をまた前方に向けていく。
「そーゆーの・・・ほんと向き合えねー・・・」
その為、苦い表情でクロがそう呟いた姿を目にしたのは瑠璃だけだった。
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マユ(プロフ) - 楓さん» コメント、有難う御座います!又、ロウレスの登場、楽しみに待って下さっていたとの事で。ここまでお付き合い下さっている事に本当に心よりお礼を申し上げます!加えて、凄く面白いと言って頂けて本当に励みになりました。不定期更新ですが頑張って今年も執筆しますね! (2020年2月4日 21時) (レス) id: aafe96c388 (このIDを非表示/違反報告)
楓(プロフ) - ロウレスの登場、ずっと楽しみにしていました!この作品、凄く面白いので、これからも更新頑張って下さい!! (2020年2月4日 20時) (レス) id: 4f59bad892 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朱臣繭子 | 作成日時:2019年11月9日 23時