第二章『蝶と椿』【1】 ページ32
―――――・・・何で脱ぐの?!
元々胸元が肌蹴ていたピンクのシャツだけでなく、下のズボンまで緩めながら、男性は悠然と微笑みかけてくる。
「―――――何をやっているんだ!? 貴様は!?」
そこに聞こえてきた怒声と同時に男性の頭部に本が投げつけられる。
いつの間にか開かれていた部屋の扉から双子の少女を伴い入ってきた少年、どうやら彼が本を投げつけたようだった。
―――――一方、真昼は。
「・・・俺の部屋?」
室内に入り込んでくる日差しでハッと意識を覚醒させた真昼が目にしたのは見慣れた自室の天井だった。
「まさか・・・夢オチ・・・」
真昼のベッドのすぐ傍らに置いてある、猫用のベッドの籠の中には、丸まってすやすやと眠る黒猫の姿。
「やめろ―――――まだねみ―――――・・・。せっかく大冒険の末に最高の枕を手に入れる夢を・・・」
「どんな大冒険だよ」
籠から抱き上げると、目元を擦りながら、訴えてきた黒猫の姿に、真昼は呆れるが、そこですぐさま思い出す。
昨日、手品師の吸血鬼に龍征が襲われた時の出来事を―――――。
「―――――夢じゃないってことは・・・」
時計を確認すれば、すでに時刻は正午を回っている。
黒猫をベッドに降ろすと、いったん部屋を出て、向かいの部屋の扉を勢いよくノックする。
「―――――瑠璃姉!! 部屋に居る!?」
しかし、応答はなく、「ごめん、開けるよ!!」と断って開けてみれば、そこには誰の姿もなかった。
そこで、また自室に真昼は戻ると、無造作に床に放りだされていた、リュックを引っ掴み、勢いよく家を飛び出し、学校目指して走り出したのだ。
午前の授業は終了し、生徒たちが各々くつろぐ昼休みの時間帯。
時刻は、12時20分を示していた。
そんな中、校舎内に全力疾走で駆け込んできた男子生徒の姿を見て、すれ違う生徒たちは何事かと目を丸くするも、彼はそれには構わず廊下をだだだだだだと走り、自分のクラスである「1−C」の教室に辿り着くと、勢いよくそのまま扉をバンッと開け放つ。
「龍征!?」
「おー真昼! もう昼休み・・・」
そうして、勢いよく叫んだ真昼に応えてくれたのは、幼馴染の内の一人、桜哉だった。
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マユ(プロフ) - ルルさん» とても嬉しいコメント、有難う御座います! 現在、最新シリーズでは原作の二巻をベースに執筆中な為。傲慢組や強欲組の登場はまだ先になってしまうと思うのですが・・・。私も彼らとの話は書きたいと思っているので・・・。気長にお付き合い頂けたら幸いです! (2018年4月27日 22時) (レス) id: 6997652f0b (このIDを非表示/違反報告)
ルル(プロフ) - すごく面白かったです!傲慢組や強欲組との絡みもどうなるか気になりました! (2018年4月27日 20時) (レス) id: f9398f263f (このIDを非表示/違反報告)
マユ(プロフ) - AAAさん» こちらこそ、ご丁寧に有難う御座います。 (2018年2月20日 23時) (レス) id: 6997652f0b (このIDを非表示/違反報告)
AAA - 返信ありがとうございます! (2018年2月20日 22時) (レス) id: ad871f5681 (このIDを非表示/違反報告)
マユ(プロフ) - AAAさん» AAAさん、コメント有難う御座います!面白いと仰って頂けてすごく嬉しいです! シリーズはパート4まで掲載中です♪続編を見るから、次のシリーズに飛べますのでどうぞよろしくお願い致します! (2018年1月15日 21時) (レス) id: 6997652f0b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朱臣繭子 | 作成日時:2017年5月21日 21時