第二章『蝶と椿』【1】 ページ33
教室内に視線を巡らせた真昼は、肩で息を切らしながら桜哉に問いかける。
「桜哉っ・・・お前だけ!? 龍征は!?」
「あ・・・・・・・・・あ―――――――――・・・」
耳に当てていたヘッドホンを外し、首に下げた桜哉は、真昼の問いを聞いた刹那、表情を陰らせた。
それを見た真昼は、絶望的な予感を募らせるも、しかしそれはすぐさま払拭される。
「桜哉! おらコロッケパン! これでいいんだろ!」
憤慨した声と同時に、桜哉の頭部にべしっと惣菜パンが投げつけられる。
お昼時の購買は例に漏れず行列だったようで、並ぶ羽目になったらしい。
「龍征!?」
それを投げつけたのは、紛れもない、龍征本人で。
「あっ真昼。来たんだ――――?」
その後ろには一緒に購買に行っていたらしい、虎雪の姿も在った。
そこで、真昼はすぐさま桜哉の背後に回り込むと、床に押し倒し、そのまま背に跨り、両足を掴んで締め上げていく。所謂、プロレスの逆エビ固めと云う関節技だ。
さっきのは何だよ・・・と、力を込めながら問いかければ、
「いや―――――なんか真昼がマジだったんで乗っかってみました・・・❤」
ギリと締め上げられた痛みに両手をバタバタとさせながら、桜哉は詫びれる様子もなくそう告げてくる。
いきなり何をやり始めたのかと、呆れ半分の眼差しでこちらを見つめてくる龍征の首元には、痛々しい包帯が巻かれていた。
317人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
マユ(プロフ) - ルルさん» とても嬉しいコメント、有難う御座います! 現在、最新シリーズでは原作の二巻をベースに執筆中な為。傲慢組や強欲組の登場はまだ先になってしまうと思うのですが・・・。私も彼らとの話は書きたいと思っているので・・・。気長にお付き合い頂けたら幸いです! (2018年4月27日 22時) (レス) id: 6997652f0b (このIDを非表示/違反報告)
ルル(プロフ) - すごく面白かったです!傲慢組や強欲組との絡みもどうなるか気になりました! (2018年4月27日 20時) (レス) id: f9398f263f (このIDを非表示/違反報告)
マユ(プロフ) - AAAさん» こちらこそ、ご丁寧に有難う御座います。 (2018年2月20日 23時) (レス) id: 6997652f0b (このIDを非表示/違反報告)
AAA - 返信ありがとうございます! (2018年2月20日 22時) (レス) id: ad871f5681 (このIDを非表示/違反報告)
マユ(プロフ) - AAAさん» AAAさん、コメント有難う御座います!面白いと仰って頂けてすごく嬉しいです! シリーズはパート4まで掲載中です♪続編を見るから、次のシリーズに飛べますのでどうぞよろしくお願い致します! (2018年1月15日 21時) (レス) id: 6997652f0b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:朱臣繭子 | 作成日時:2017年5月21日 21時