オレンジ色の太陽

# ページ39

大貴side



それから２日後。



俺は、あのときの決意を田辺先生に
伝えようと思い、車椅子に乗った。




久しぶりに乗ったから、違和感がありすぎて
田辺先生がいるはずの屋上に着くまで少し時間がかかった。



俺「田辺先生。」




俺が先生を呼ぶと、先生は振り向いて片手を挙げた。




俺「やっぱりここにいたんですね。」


田辺「…落ち着くんですよ。」




田辺先生はそうに言って、空を仰いだ。



心地よい春風が、吹き抜けていく。




田辺「…どうかしましたか？」


俺「え？」


田辺「あ、いや。以前、有岡さんにそう言われたなと思い出しまして。笑」



　
そんなこともあったな。


あれから３年が経つのか。



そうやって、田辺先生を信じて来たからこそ、
芸能界に復帰できたんだ。



だから、ちゃんと伝えなきゃ。



俺の思いを。



俺「田辺先生、俺、延命治療を─────









──────田辺「分かりました。メンバーさんとは、話し合いましたか？」


俺「いや、まだです。明日、きちんと皆にも、
話そうと思います。」


田辺「分かりました。
私は、いた方がいいですか？」



あ、病気の説明とか、今後の事とか。



田辺先生から話してもらいたいことはたくさんある。



でも、自分で言わなきゃ意味がない。




俺「大丈夫です。自分で皆に伝えます。」


田辺「分かりました。
何かあればすぐ呼んでくださいね？」


俺「分かりましたよ。」



田辺先生と俺は顔を見合わせて、微笑んだ。



俺「あぁ〜腹へったー！よし、戻ります！」


田辺「そうですね。笑 あ、押しますよ？」


俺「大丈夫です。車椅子好きなんで。笑」


田辺「分かりました。笑 ではここで。」


俺「はい、失礼します。」



俺は自分の病室へ戻った。



病院の廊下には、様々な人がいる。



怪我をしている人や、点滴をしている人、
子供ながらに入院している子や、
寝たきりの人も。通院する人だっている。



はたから見れば、
俺もそのうちの１人なんだよな。



さて、明日はみんなに何て言おうか。



『やっほー！』？


『遅いじゃん！』？



いや、『ありがとう』何てのも格好いいかも。



何て言おーかな？



考えているうちに、
日は傾きオレンジ色の木漏れ日が、
病室に降り注いだ。

　

人生って儚いんだな。



明日は、オレンジ色の木漏れ日が見れるかな？



みんなも同じ空、見てる？





すっげぇ、綺麗だね。

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