団子はよく噛んで飲み込め ページ8
「案内する気あります?」
「あるって!だから団子奢って…!」
よほど団子が好きなのだろうか、万事屋じゃなくて団子屋にでもなればいいのに。仕方なく財布を取り出す。いい大人が私みたいなちんちくりんにタカってる絵面、風紀的にどうなの。
「はぁ…、一本だけですよ」
「まじ?」
「貸し1ですからね」
町案内の依頼料って考えたら安い?なけなしと自虐するほどお金に困ってはいないけど、必要経費ではないのに冒頭から奢らされていて大丈夫かな。
「みたらしとあんこひとつずつでお願いします」
はいよ、と明朗快活な返事をくれた店主さんは万事屋さんとは顔見知りらしい。お団子を焼きながら談笑していた。万事屋の名を冠しているだけあって、顔は広いのかもしれない。
「やっぱ美味ぇな、あんこ」
いつお団子が提供されたのかはわからないけど、気付いたときには既に万事屋さんがあんこを頬張っていた。なんで先に食べてるんだ、私もあんこ食べたい。
「何勝手に食べてるんですか、あんことみたらし半分こですよ」
万事屋さんの持っているあんこを強制的にみたらしに持ち替え、残りのあんこを堪能する。
「んー、美味しい」
「美味しいなら何よりなんだけど、それ銀さんの食べかけよ?」
「確かに食べかけでしたけど…、気にすることでもないですよ」
今までは普通に人様から物もらったり分けられたりすることが大半だったし、食べかけだとか飲みかけだとか、疫病じゃない限りは大体頂いていたものだからつい…。江戸では気をつけた方がいいのね。
「気にしてねぇならいいけどよ…、知らねぇ男にはやめとけよ」
「はーい」
なにが良くないのかはしらんけど、とりあえず気を付けとこう。
人の家に上がるのってテンション上がる→←役職があるからといって裕福とは限らない
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作者名:ぴ! | 作者ホームページ:https://twitter.com/pipipi__dream
作成日時:2018年9月4日 0時