ヒーローも官房長官も遅れてくるんだから遅刻しても大丈夫 ページ25
「おーおー、寄ってたかって刀向けやがって…黒ひげ危機一発ですかコノヤロー」
「汚い手でA姐に触ってんじゃねーヨ」
楽には死ねると思うなよ、とドスの効いた声。いつもの気だるさなんて無く。殺意をびりびりと感じさせる。
安心して視界が滲んでしまったせいでぼんやりとしか景色が見えないけれど、殴っているのか斬っているのか、激しく戦っている鈍い音は聞こえている。
「少しは頼ってくれていいんですからね」
「ごめん、ありがとう」
そう言ったときにはもう敵と戦っていた。拘束具も解いてくれていたようで、逞しいなと感慨深く思ってしまう。
敵は一体何人いるのだろうか。後ろを見れば、援軍らしき天人がぞろぞろとやって来ているのが見えた。
ここは走って逃げなくては。…追ってきた天人に腕掴まれちゃったしもう遅いだろうけど。
「てめーら、それ以上暴れるってんならこの女がどうなってもいいんだな?」
首筋に刃物が当たっている感覚。ぴたりと動きが止まる三人。多勢に無勢とは言うが、これは卑怯だ。
「私なんかどうでもいいんだから、早く逃げて!」
「A姐がどうでもいいわけないヨ、A姐は…、万事屋にとっても、私にとっても大切ネ。絶対引かないアル」
神楽ちゃんの言葉と覚悟。その気持ちが嬉しくて、また涙が頬を伝う。
「大人しく武器を置いて両手を上げろ」
「へーへー、言われなくてもそうしますよ」
まだまだこっからだってのに、なんてぶつくさ文句を言いながら。いつも通り悪態をついている銀さん。心なしか安心するのはなぜだろうか。
「目的の夜兎も捕らえたわけだし…、どういたぶってやろうかね」
「神楽ちゃんより私が先って言ったでしょ!!」
神楽ちゃんのためなら命だって惜しくはない。そりゃ確かに死ぬのは怖いけど、人を守って死ぬのなら別にいい。大切な人を守って死ぬのなら、それのほうがいいとすら思う。
「死ぬのが望みなら叶えてやるよ」
刃先が私の方へ向く。さっきも似たような光景を見たはずなのに、不思議と恐怖は感じなくて。死ぬ前なのにこんなのんきでいいのだろうか、と考えていた矢先。
いきなり後ろから爆発が起こり、天人の三分の一近くが吹っ飛んだ。
「やっぱり旦那たちだけじゃ無理だったわけですかぃ」
「だから俺は最初から突入するっつったろ」
先に行って死ね土方、そう毒を吐く沖田さん。それにつっこむ土方さん。なんでここに真選組が…。頼もしいことに変わりはないけれど。
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作者名:ぴ! | 作者ホームページ:https://twitter.com/pipipi__dream
作成日時:2018年9月4日 0時