めんくい×うさぎ。 ページ6
結局あのネチョネチョはバカ二人がとどめを刺してひとまずは一件落着!…になるはずだったのに。何故か幕府の松っちゃん砲とやらを浴びることに。でも神晃さんが番傘一つで庇ってくれて、また貸しが一つ増えた。髪をむしられたりしていたけれど、あの頃の姿とは変わっていなくて嬉しかったりして。
何より、この辺鄙な星で神楽のことを大切に思ってくれている人(生き物?)がいることがわかったことが一番大きいかも。
まあでもなんだかんだで一件落着したことだし、お目当ての黒服お兄さんを探す。お、いたいた。
「ね、お兄さん。約束通りお名前教えて」
「ハァ…、沖田総悟でさぁ。本当にあのバケモン倒しちまうとはね」
「だって最強美少女だもん」
「チャイナの姉貴?似てねぇけど」
「まぁ、血縁者ではないね。幼馴染」
へぇ、と興味があるんだかないんだか。というか栗毛イケメンくんも神楽の知り合いなんだ。
「栗毛くんはさ、あのイケメンお兄さんと知り合いだろうと踏んで質問するんだけど」
「イケメンお兄さん?なんでぃそれ」
「さっきの、今神晃さんと深刻そうな話してるお兄さん」
「あぁ、旦那ね。あんた意外と見境無しかぃ」
旦那と呼ばれた白髪お兄さんは坂田銀時というらしい。万事屋を営んでいて、神楽や純朴メガネくんもそこに雇われているとのこと。栗毛くんこと沖田さんもサムライというらしい。
沖田さんとの会話もそこそこに、神晃さんにも挨拶したくて切り上げた。
「その、左手。…ごめんなさい」
「後先考えず突っ走りすぎなところは変わらないな」
「ゔ、はい…」
「元気でやってるのか?」
「うん、それなりに元気だよ」
家族でもない私のために欠けてしまった右手を見て苦しくなる。あまり思い出したくないことも思い出しちゃうし。
強くなったな、と一言だけ呟いて。ちょっと、というかすごく泣きそうになる。泣いているなんて思われたくなくてゴシゴシ目元を擦ってみたけど、悪化しているような気がして。
ちゃんと別れの挨拶をする前に、いつの間にか何処かへ去ってしまった。いつもそう、伝えようと思った言葉を紡げないままだ。
日が傾きだしていることに危機感を感じる。やばい、今日ここに来たのってエアコン目当てで神楽の顔見れたらラッキーくらいにしか思ってなかったのに。
急いで繁華街まで走ってエアコンを調達。ムカつくから神威名義で領収書もらっちゃった。そろそろ帰らないとね。
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作者名:ぴ! | 作者ホームページ:https://twitter.com/pipipi__dream
作成日時:2018年4月2日 11時