めんくい×うさぎ。 ページ4
次から次へとそこらからえいりあんの触手が伸びてくる。瞬きする度に攻撃されている気がしなくもないが、何とか機体には乗り込めた。
神楽が危険な目に遭っている現状、どう動こうかなんて頭を使うことすら惜しい。見つけるまではひたすら突っ走るほかない。
「なんで…、いるアルか…、A」
「神楽!よかった生きてて」
当たり前ヨ、と強がる姿に胸がきゅっとする。腹部からかなり出血していて痛ましい。
こうやって私の前では弱音を吐かずに強がるのは昔からで、何度目になるかわからないごめんねを呟く。
「Aはいっつも謝ってばっかだネ、私も強くなったから、大丈夫アル」
「…うん」
軽く応急手当をしていると、近くでドゴンと大きな物音がした。反射的に後ろを振り向けば、奇怪なジョイスティック天人二人を激詰めしている神晃さんがいて。
神楽の番傘が付近に落ちているあたり、庇って怪我したってとこかな。
「神楽!…に、A?どうしてこんなところに…」
「えーっと、エアコンを買いに?」
怪訝な顔された。いやまあ正当な反応だとは思うけど。久々にバチ切れている姿を見るとやっぱこの人怒らせたら怖いなあと思う。
私もジョイスティックに多少思うところはあれど、神晃さんほど神楽のことを想っている自負も生憎家族二人の空間に割って入るほどの図太さもない。
「おいィィィ!!あぶないィィ!!上!!上!!」
急にジョイスティック(顔色悪そうな方)が叫びだした。真正面には、大きく口を開けたえいりあん。避けなければと頭の中では理解しているのに、ここに来て陽を浴びながら動き回ったツケなのかうまく回避ができない。
反射で目を瞑ると同時に身体がいきなり床に叩きつけられる衝撃。何事かと思い目を開けば義手を失った神晃さんがそこにいた。
立て直さなきゃ、そう思ったときには神楽が触手に捕らわれてしまって。真後ろに大きく口を開いた個体が待ち構えていた。
どうにかしようと手持ちの番傘を投げてみたけれど、手応えは全くない。直接叩くしか方法はなさそう。
船体上部に飛び乗った瞬間、神楽、と必死に叫ぶ先刻の白髪イケメンとデカもふもふが触手の体内から飛び出してきた。えぇ…。どういう原理で飛び出してきたんだろう。
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作者名:ぴ! | 作者ホームページ:https://twitter.com/pipipi__dream
作成日時:2018年4月2日 11時