17 ページ17
久作side
…先ず、リューンの民について説明しようか。
リューンの民は…分かり易く言うと異世界人だ。其の昔…紀元前何年くらい前にリューンの民は此の世界に来た。元々暮らしていた世界が何かで滅亡したらしい。まぁ兎に角、生き延びたリューンの人々は故郷を捨てて、生きる為に次元を超えて此の世界に避難した訳。
其の手段は「位相転移」って呼ばれるもので、生物の肉体や精神は全て一定の質量を持った素粒子と電気信号の集合体、つまり情報によって構成されている、だから其れ等を一定の荷電粒子に変換したものを異なる世界へ転移させ、其の到達先で情報を再構築すれば物体の移動は可能になる、という理論を元にリューンの民の祖先が研究の末に確立した技術だ。
研究者達はリューンの民を救う為、其の位相転移を用いた次元間の移動媒介装置、管理門を開発した。其の完成と共にリューンの民は大規模な新天地への移民計画を実行し、避難民達は次々と別次元の世界へ転送されていった。
処で、ぼく達は此の管理門を制御する為に作られた存在だ。本来なら感情はおろか、自我さえも持つ事は出来ない筈だった。では何故此処にぼくが居るか…。答えは簡単だ。シーツェン…冬夜がぼくを改良した。冬夜の本名は知っているか?知らない?ぼくの名前は知っているのに?…。まぁ、兎に角冬夜がぼくを改良したお陰で所謂AI的なモノだったぼくは感情を持つ事が出来た。
冬夜は研究が好きでね、リューンの作った技術は全て再現出来た。更に発達させる事もね。…そう、冬夜はぼくの実体を作ろうとした。結果は半分成功。管理門の中に存在しただけのぼくは、冬夜と話す事は出来ても触れる事は出来なかった。何しろ姿が無いんだもの。
管理門の中ではテレパシー的な感じで冬夜と話していたんだ。…そう、ドグラマグラは此れが少し変化したもの。つまりぼくが意思疎通を図る為の術だ。
ん?如何やって管理門から出たか?…出てはいないんだなぁ。先刻言っただろう?半分成功した、と。
17人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:マツリ | 作成日時:2019年3月24日 23時