第12話 ページ14
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数日後
エル｢待たせたね。｣
およそ五年ぶりに来た酒屋で、迷わずカウンター席を選んだ。
彼は団長ということもあって相当忙しかったようだった。
待ち合わせ時間の調整が難しかったし、
少し遅れるぐらい仕方ないと思っていた。
貴｢いえ。待っていません。
来てくれて嬉しいです。｣
あのとき兵士長のおかげで、
エルヴィンにどういう思いをさせてしまっていたか気付いた。
まぁ彼もさほど気にはしていないのかもしれないけど、
それより
よく考えて分かったことだけど
実は自分がすごく寂しいと思っていたことに気付いた。
貴｢…エル……エルヴィン団長……。
……その…………。｣
エル｢…話しづらいならまず、酒を頼もうか？｣
口ごもる私の顔を覗き、優しくアドバイスした。
なんか、違う。
数年前は私の扱い雑だったのに。
すごくいじりまわしてた位なのに。
なんか………優しくなってる。
変わってしまったのだろうか。
貴｢…はい……。
エルヴィン団長は白ワインでしたよね？
すみません。
白ワインとブルーカクテルください。｣
ウェイターさんにそう注文した。
エル｢カクテルなんて飲んだことあったか？｣
貴｢あまりないです。
なんだか今日は甘いものが飲みたくて。｣
普通に話してくる彼が不思議だった。
エル｢そういえばAはいつもビールだったよな。
本当におじさんくさい。
酔っぱらうと特にな。｣
貴｢なっ、しょうがないでしょー。
ビールはうま…………。
………はっ……………！｣
つい、昔の口調に戻ってしまい自分でも驚く。
だけどもっと驚いたのが
すごく普通だったこと。
体も心も違和感を感じていなくて。
違和感を感じてるのは頭だけ。
エル｢お前は本当に昔からバカだからな。
猫かぶって隠そうとしても無駄だ。
変わっていない。俺もAも。｣
優しい声と、
その久しぶりの罵倒が嬉しかった。
今一瞬の間に、数年の氷の壁が溶けた。
いじけた私の元へ
エルヴィンが暖かい言葉で氷を溶かし
久しぶりにやってきた。
まるでそれが当たり前であるかのように。
いや、実際に当たり前だったんだ。
貴｢………あいかわらず
ずる賢いなー、エルヴィンは。
私がバカみたいじゃないか。｣
エル｢その通りだ。
分かってるじゃないか。｣
ほら、この感覚。
懐かしい。
。
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作者名：アラン | 作成日時：2016年12月17日 18時
