私を、誘拐してください【ヒプマイ】

衝撃の依頼 ページ3

《一郎side》



依頼人だという少女を改めて見ると、その外見に驚き唖然とした

体のあちこちにアザや傷痕があり、唇からはまだうっすらと血が滲んでいる

髪も明らかに故意に切られていて、長さがところどころ合っていない




『単刀直入に言いますね』




少女は、俺たちの様子を全く気にしないで話し始めた









．









『私を、誘拐してください』









．









一・二「「………はあ！？！？」」







とんでもない言葉が飛び出して、俺も二郎も思わず耳を疑った


誘拐してください


確かに彼女はそう言った




二「ゆ、誘拐って……。なんでそんな事 依頼しに…」


『萬屋って、何でも屋ってことですよね？だったら誘拐もしてくれるんでしょ？』


一「…ちょっと待ってくれ。とりあえず、理由を教えてくれないか？
やっぱりその怪我と何か関係があるんだろ？」




状況を整理するためにそう聞いてみると、彼女はぽつぽつと話し始めた


親から虐待を受けていること

最近になって暴力が激しくなり、身の危険を感じて逃げてきたこと

そして萬屋をやっているという俺らの噂を聞いて、ここまで来たこと




二「……最低だな、そいつら。自分の子供に手ぇ上げるなんざ人間のクズだ」


一「でも、なんで誘拐なんだ？虐待なら警察に行ったほうがいいんじゃ」


『警察の人は当てになりません。
…1度だけ通報したことがあるんです。助けてくださいって。でも、よく調べもしないでさっさと帰ってしまって』




淡々と話し続ける彼女は、もう全てを諦めたような虚ろな目をしていた

このまま親元に帰したら、またひどい暴力を振るわれるだろう

どうにかして助ける方法はないのか………




二「兄ちゃん、どうする？」









．









一「………………やってみるか、誘拐」

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