私を、誘拐してください【ヒプマイ】

おかえり ページ19

《一郎side》



ヨコハマからAが戻ってきた

…のは良かったんだが、心配性の二郎と三郎に質問攻めにあっている





二「碧棺左馬刻になんかされてないよな！？もしあいつがAに手ぇ出したら、ヨコハマまで殴り込みに行ってやる！！」


三「デリケートな問題なのにズケズケと質問されたりしませんでしたか？あの胡散臭い警察の奴なんて信用出来ませんからね」


『…えっと…』





過保護すぎるまでの心配の言葉に、Aも困っているみたいだ

仕方ねぇ、ここは兄貴として助けてやるか





一「はいはい、2人とも一旦落ち着け。とりあえず無事に帰って来たんだからいいじゃねぇか」


二「で、でも兄ちゃん…」


三「けど一兄…」


一「まずは おかえり って言ってやろうぜ」


『ただいま』


二「あ、先越されちまった…」





けろりとした顔で言うもんだから、思わず3人で笑ってしまった

Aは不思議そうに見てたけど





三「そうだ。晩ご飯これから作るんですけど、Aさんは何が食べたいですか？」


『私？』


三「はい。せっかくですし」


『何でもい………あ、』


一「ん？どうかしたか」





Aは何が言いかけて止まった

言おうとして止めて、また言おうとして止めて


それを2回繰り返してようやく、小さな声で呟いた





『……イス』


一「え？」


『…オムライスが、いい』


二「ずっとそれ言いたくて口ごもってたのか？食べたいんだったら言っていいんだぜ。遠慮すんなよ」


三「二郎なんかに同感したくないけど、その通りですよ。すぐにオムライス作りますね」


二「てめーはいつもいつも一言余計なんだよな…」


三「なんだよ、文句あるのか？」





一触即発の2人をなんとかなだめる

いつもの事ながら、本当に喧嘩が耐えないよな…









その時、俺は気づかなかった





後ろにいるAが









少し笑っていたことに

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