小悪魔が十八匹 ページ20
聞き覚えのある声に勢いよく顔を上げると、焦げ茶の瞳と目が合って、一気に体温が上がる。
「お、おは……」
よう、と続けようとしたけど、自転車を押す翔陽くんの隣に人影がある事に気付く。
「……ッス」
その人影も私に気付いてぎこちなく会釈をする。
「……おはよう、翔陽くん、影山くん」
そうだよね、翔陽くん影山くんと仲良しだもんね。可愛いね。
……2人きりで話したかったのに！！
「Aも朝練？誰か待ってた？」
あなたのことを待ってました！
……なんて言えるわけもなく。
「……朝練行く途中でちょっと休憩してたの。飲み切っちゃったから私もそろそろ行こうかな」
そう言って空っぽの缶を振って見せると、翔陽くんは「そっか！」と流れるようにそれを私の手からかっさらって、私からは少し距離のあったゴミ箱に捨ててくれる。
……好き。苦しい。
「おれたちも朝練！Aも一緒に行く？」
「……良い？」
「いいよ！な！影山！」
「ドーゾ」
眉間に皺を寄せた影山くんの、これまたぎこちない返事。
影山くんは格好いいけど、人付き合いが上手いタイプではなかったと思う。
翔陽くんは人とすぐ打解けられるタイプだろうし、この2人は正反対なように見えて相性良いんだろうな。
……ちょっと嫉妬するけど、と思いつつ2人と肩を並べて歩き出す。
「バレー部は朝練毎日あるの？」
「まぁ、基本的には」
「バレーできる時間長くなって嬉しいよなー！」
そう答えたのは翔陽くんだけど、影山くんもそれに同意するような表情をしている。
意外と顔に出るタイプか。
部活なんてってめんどくさがる人ばかりだけど、この2人は本当にバレーが大好きなんだって事が伝わってきて自然と口角が上がった。
「そっかぁ。2人ともレギュラーなんだよね？1年なのに凄いね」
「いやいやいやそれ程でも……あるかも」
「調子に乗るな」
「いてっ」
あ、頭叩かれた。可愛い！
「……けど、
こんなんじゃダメだ。
もっと強くならなきゃいけないんだ、おれ」
自分に強く言い聞かせるような、決意が滲んだ声。
＿＿その真剣な顔、初めて見た。
急に顔付きを変えた翔陽くんはさっきまでとはまるで別人みたいで。
獣みたいな貪欲さを孕んだ、それでいて澄んだ目に、心臓が変な音を立てる。
その後ろで影山くんが呆れたような、でもどこか満足げな表情をしていて、やっぱり気に食わなかった。
なんか、翔陽くんの全部を知ってる感じがして。
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美園(プロフ) - やばい夢主ちゃん好きすぎる…可愛すぎる…日向とうまくいってくれ (2月27日 10時) (
レス) @page24 id: 69d991c9f1 (このIDを非表示/違反報告)
やぁでぅん - 主人公と日向くんの絡みが最高です！！これからも更新頑張って下さい！！ (2023年5月10日 15時) (レス) id: 92500eea4b (このIDを非表示/違反報告)
ゆな - え、むりおもしろすぎる続きがちでみたい (2023年1月7日 20時) (レス) @page24 id: 6539e90d25 (このIDを非表示/違反報告)
ムー - 小悪魔な少女が無邪気な彼に片思いして振り回されてるの、とても新しくてワクワクします！うまくアピールできなくて少しそっけなかったり、それでもどうやって好きになってもらうか一生懸命なのは、恋する乙女同然ですね！これから二人はどうなっていくのか楽しみです！ (2022年10月5日 19時) (レス) @page24 id: 812daaa6d6 (このIDを非表示/違反報告)
水団子(プロフ) - 羽珪藻さん» 毎回悪戦苦闘しながら話を考えているので、そう言って頂けてありがたいです……（ ; ; ）これからもお暇な時に覗きに来ていただけると嬉しいです。コメントありがとうございました！ (2022年8月8日 13時) (レス) id: 3a603e5b42 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：水団子 | 作成日時：2015年10月30日 21時
