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同じクラスになれたのは、本当にただのラッキーだったのかもしれない。ちょっとでも彼の気を引けたら、なんて思ってはいたけど、現実はそう甘くなかったのだ。性格が大きく変わってしまったというか、自分に自信がないだけでここまで暗くなってしまっていると、全ての思考もネガティブに陥るものだ。
それでも、ふつふつと湧き上がるのは『諦めきれない』という気持ち。これが欲、というやつなのだろうか。そう錯覚しているだけかもしれないけど。
ぼんやりと眺めていただけのス魔ホ。何度も往復して見たナルミィちゃん。
こんな女の子になれたら、ナルミィちゃんに、近づければ。トイフェルくんも……。
決断に至るまでにはそんなに時間はかからなかった。思い立ったが吉日。ギュッ、とス魔ホを握りしめ、席を立った。
のが、数日前のこと。
「Aちゃん、すっごく雰囲気変わったね！かわいい！」
「そ、そう、かな。えへへ……」
「バッサリ切って、髪色も変えたんだね〜！どうしたの？まさか……失恋！？」
「ちがっ、違うよ！本当に、気分というかっ……」
「またまた〜」
私がまず行なったのは、髪型を変えること。魔術を、『チェルーシル』を使えば簡単なんだろうけど、ちゃんと変わりたかったから、使わなかった。
そしてしっかり、周りとコミュニケーションを取ること。学校を休むわけにはいかなかったから、学校がおやすみの期間を使って、やれることから初めていこうと思った。
長い髪をバッサリ切って、ショート……にする勇気はなかったから、ボブぐらいにしてみた。それでもだいぶ印象は変わったと思う。風通しが良くなってしまったから、季節は暖かくなってきていたはずなのに、なんだか寒く感じた。
眼鏡も、コンタクトへと切り替えてみた。分厚いガラス越しの世界とは違う視界に、ときめく反面眩しくて仕方なかった。
あとは胸を張って、前を見て、扉を開けてただ一言、「おはよう」と声に出しただけだった。
一番早くに反応してくれていたのは、私を気にかけてくれていたクラスメイトの女の子たちだった。他の子はあっけにとられていたようで、挨拶をしたあとに一瞬の沈黙があった。その瞬間の羞恥を未だに引きずっている。
女の子たちからの質問攻めのあとは、少しだけ男の子にも声をかけられた。「そんなキャラだとは思っていなかったからびっくりした」「似合ってるじゃん」と言われて、正直嬉しかったけど、目的の人物は特に無反応だった。
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作者名：!! | 作成日時：2023年5月28日 12時
