【続】あいしてください【zm】 (ページ41)

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捌拾玖(はちじゅうく) ページ41

元々レティ国からの援軍は期待されていなかった。

勿論それは敗戦直後であるから。そして、属国とは殆ど名ばかりで、結ばれた講和条件は同盟国との内容に近かったのだ。
しかしまぁ。とグルッペンは眉を顰める。
レティへ赴いてミシェル王子と話した時に、少しだけ感じた彼の父親への憎悪。
Aへの尊敬の感情と勘違いしたのかとも思ったが、彼が父親へ直接手を降したところを見ると、やはり霊感は間違っていなかったようだった。

「(戦争が終わったら、彼国への援助に渾身の力を入れてやらねばならんな。)」

楽しそうにほくそ笑んだが、しかし戦争が終わったら、というワードに心が少し引っかかった。
戦況はと言えば、完全に此方に勝機が傾いている。今日中に決着は着くだろう。大暴れしている様子のコネシマの声が通信機から聞こえてくる。報告終わったなら切れっていつも言ってるだろうが。
ゾムも心配は心配なのだが、あいつの生命力は大先生に負けず劣らずだし、しんぺい神に任せれば問題ない。
それでもなにか引っかかるのは＿＿＿

＿＿＿まぁそんな事、考えなくても分かっているのだけれど。

「……ん？あれ……」

ふと隣にいた兵士の声が耳に入る。
普段真面目で礼儀正しいその兵士が独り言を呟くのが珍しくて、彼の向いている方向を見、どうした、と声を掛けようとして、森の中、ひとつの木に、見慣れた軍服を見つけた。

「＿＿ソルティア！！！」

静止がかかるのを気にもとめず突っ走る。
彼女の頬へ触れる。まだ少し温かかった。
全身血だらけの彼女を震える手で抱きかかえると、そのまま後方へ走り出し、元いたところを通り過ぎ、しんぺい神のところを目指して走った。

「＿＿＿死で償おうなんて思ってんじゃねぇぞ、

ぜってえ死なせねぇからな！！！！」

走りながら叫ぶ。
視界のすみ、彼女が少しだけ笑ったような気がした。