【続】あいしてください【zm】 (ページ29)

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漆拾漆(しちじゅうしち) ページ29

逃げ場の位置を確認しながら慎重に廊下を進むが、かけられているプレートは応接間、仮眠室(誰もいなかった)、喫煙室、と大した当たりはなかったので下の階へ降りるべく階段の方へ向かう。
と、かすかに足音が聞こえて咄嗟に上にあったダクトへと逃げ込んだ。
蓋から覗き込むと、よかった、こちらの存在はバレていないようで何か話しをしながら階段を登ってきている。
足音からして3人。この階に用があるのだろうか。
もしこちらに来たら、このダクトの下を通過したところを後ろから殺ろう。
だんだん大きくなる声に耳を澄ますと、いかにも自信満々といった話口調の男の声が聞こえてきた。

「＿で、＿我々国軍は撤退している。いい気味だな。レティと一緒に閉じこもっていれば良いものを。」

豪華な服を着た丸々と太った男が下を通過する。
うわ、あれよりはトントンの方がマシやな。体格的に。

「＿そのようですね。して、これからはどうするおつもりで？」

落ち着いた女の声が聞こえる。
なんだ、ティーか。
と、ティーがダクトの下を通過する時、自らの髪の毛を2回ポンポンと触った。
うわ、こいつ俺がいるの気づいてやがる。
てことはこの合図は、待て、ということか？
引き続き話に耳を傾ける。

「ルー大陸からはもう援軍は来まい。
それならばこのままここで守りを固めて、奴らが自滅しに来てくれるのを待つだけだ。
カドレアと合流した所で、既に軍隊は少数だ。勝機はこちらにある。

__して、ソルティア
お前はディオスのスパイとしてよく頑張ってくれた。
今回のこの勝機はお前が1枚噛んでいるといっても過言ではない。
なにか褒美をやろう。何がいい。

＿＿＿あぁ、違ったな。妹の解放がいいか？」

気持ちの悪い笑みが空気を震わす。
その言葉にソルティアは立ち止まると、彼女は俯いていた顔を上げ、そして恐ろしいほど綺麗に笑った。

「そうですね、強いて言うなら

＿＿緑の脅威が、見てみたい。」

その言葉と同時に、ソルティアの後ろにいた護衛兵が血を吹き出しながら倒れる。

「なっ……！！」

顔を恐怖で歪めたその男を見て、ゾムはひははっ！と笑った。
直ぐにゾムは距離を詰めると、顔を切り裂く。
悲鳴をあげようとしたのでそのままの動きで喉を切り裂いた。