【続】あいしてください【zm】 (ページ12)

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陸拾壱(ろくじゅういち) ページ12

「すんません、手伝って貰っちゃって。」
『いえいえ、困った時はお互い様、ですから。』

武器の調達があったらしく、1人で大量のダンボールを武器庫へと運んでいたショッピを見つけたAが手伝いを申し出るのは当然のような流れだった。

「……真正の善人っすね。」
『真正の善人は人を殺すための武器なんて運びませんよ。』
「あぁ、この人もなんやかんや軍人でしたねそう言えば。」

微笑んでそう返すと、いつものポーカーフェイスのジト目がこちらを見つめていた。

「そう言えば、俺に敬語なんて使わなくて良いんすよ？
俺の方が年下ですし、幹部になったのだってAさんに負けず最近ですし、軍人歴も俺の方が短いですし。」
『あぁ、いえ、すみません。
私は逆に敬語を外す方が慣れていなくて、つい敬語を使ってしまうんです。
嫌な様でしたら、外しますが…』
「……ゾムさんには、外してるんですもんね。」
『え？』

ショッピは思い出すように笑みを浮かべる。
その顔はどこぞの先輩に似たのだろうか、純粋に悪い顔だった。

「いや、そう言えばと思って。
ゾムさんには外してるんですよね？」
『…そうですね。』
「じゃあ、俺はやめときます。
ゾムさんに殺されるのは嫌なので。」

武器庫の中に綺麗にダンボールを置くと、ショッピはふぅ、と額の汗を拭った。
私は彼の方を向くと、首を傾げた。

『なんでゾムに殺されるんです？』
「特別感があるからですかね。」

特別感？なんの？と声を出す前に、ショッピは言いたいことが分かったのだろう、ちょっと呆れたように微笑んでいた。

「Aさんが敬語を外しているのがゾムさんだけってことは、Aさんにとってゾムさんは、特別なのかなって。
特に経緯とかを知らないっすから、そういう特別感が存在しているように感じるんす。

あっでもこの特別ってのは差別って意味じゃないですよ。

どちらかと言うと、恋愛的に、ですかね。」

『恋愛……？』

ちょっと眉をひそめた。
その言葉は、私には一生無縁なものだと、どこか感じていたし。なにより、

『私にその…そういう感情は、難しいので、よくわからないです。
特にゾムを特別視しているつもりは、ないんですが。』
「そりゃそうでしょうね、Aさん鈍そうだし。
意外とそういうのって自分では分からなかったりするんすよ。

Aさんがそう思ってなくとも」

__俺らには、お互いがお互いを特に大事にしているんだなって分かりますよ。