やるせない心の中 ページ7
〜翌朝〜
「ん? 春香さん?」
居ない。どこだ?
手紙?
バーボン
おはよう。何も言わずに立ち去ってごめんなさい。
私達、もう別れましょう。貴方に不満がある訳じゃないわ。私が誇りを捨てられないだけなの。許してと言う資格がないのはわかっているわ。ただこれだけはお願い。これは私が一人で決めたこと。恨むのは私だけにしてください。
素敵な思い出をありがとう。さようなら。
クラレット
「クラレット!! 」
何故、何も言ってくれなかったんだ。
それほど僕は頼りない男だったのか?
なんて情けないことだ。
彼女をそこまで追い詰めてしまったとは、
「降谷さん、この書類を、降谷さん?」
「あ、ああ、すまない。」
「印をお願いします。」
「わかった。後でやっておく。」
いつもなら仕事の鬼と言われるほどの勢いで片付けるのに、
他に何も考えられない。
あれから組織にも戻っていない。
情けないことだ。
彼女に会いたいけれど、どんな顔をして彼女に会えば良いのかわからない。
降谷さん、
久しぶりに登庁したと聞いて出向いたが、
生気がなく、魂が抜けたかのようだった。
それほどまでにあの女を、
貴方を一方的に振った女でも、割り切れないのですか?
「降谷さん、お疲れ様です。」
コーヒーを置く。
「ああ、ありがとう。」
「大分お疲れのようですよ。少し休まれては、」
「良いんだ。他のことを考えたくない。」
「降谷さん、」
やはり、まだ彼女を
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作者名:Detective A | 作成日時:2018年5月1日 0時