愛の運命。 (ページ10)

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Destiny 10 ページ10

『覚えててくれたんだね』

あの頃と同じ海岸に2人で腰掛け
ボソッとそう呟く。

廉「当たり前やろ」

廉もこっちは向かずにボソッとそう答えた。

しばらくの沈黙が続いて
波音だけが夕闇の中の2人を包み込む。

『ねえ、覚えてる？

2人で水掛け合って追いかけっこしたの』

廉「あー子供やったな」

なんてカッコつけて笑う廉に
私は悪戯っぽく微笑みながら
海の水をパシャりと掛けた。

廉「おい！何すんねん！」

相変わらず小さい子供みたいに
意地になって本気で怒ってくる廉。

何も変わってないなーなんてしみじみ。

そんな廉が面白くて爆笑していたら、
廉も水を掛け返してきて悪魔の笑みを見せる。

『冷たっ！』

廉「お返しや」

憎ったらしい顔でベーと舌を見せる廉に
イラっとしてさらに水を掛け返す。

廉「お前なー！」

廉が私を捕まえるように抱きしめてきて
濡れたシャツがひんやり冷たい。

『やだー濡れるー』

廉「水掛けてきたんお前やろ」

『だって廉が掛けてきたもん』

廉「俺は仕返しただけや」

『廉がカッコつけるから』

廉「あ？」

抱きしめられたまま
何言い合ってるんだ私たちは。

でも、ずっとこの時間が続けばいいのにな
なんて思ってるのもきっと私だけ。

廉「お前はほんまに生意気やな」

『廉に言われたくないよ』

廉「あ？調子のんな」

廉は抱きしめる腕にさらに力を入れるから
私はヒョイっと宙に浮かんだ。

『きゃー！』

廉「ははっ(笑) 」

耳元で響く私の大好きな笑い声。

怖くてギュって廉にしがみついたら
大きなその腕で包み込んでくれた。

不意に廉の顔を見上げたら
優しい顔で私を見つめてて
私はとろけるような幸せに包まれた。