愛の運命。 (ページ9)

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Destiny 9 ページ9

10年前______

私はまだ5歳の頃、
パパの転勤で大阪に引っ越すことになった。

まだ幼いとはいえ、環境の変化に慣れなくて
私は大阪が好きになれなかった。

そんな時、家族に連れられて来たのがこの海。

そして、君と出会わせてくれたこの海。

「君、1人？」

『え？』

両親とお兄ちゃんから離れて
1人、海岸で座って不貞腐れていた私に
声を掛けてきた私と同じ歳ぐらいの男の子。

彼は私を見つめると、
「俺が遊んだるわ」と言ってニコッと微笑んだ。

返事をする間もなく手を引かれて
男の子と一緒に海の中に入る。

『冷たっ！』

足にかかる海水はひんやりと冷たく
思わず声を上げると、

彼はさらにわざと水を掛けてきた。

「ははっ(笑)」

その時の男の子の笑顔は今でも忘れない。

無邪気であどけない笑顔は
まだ幼いながらに私の心を強く震わせた。

水を掛け合ってびしょ濡れになって
砂浜で追いかけっこして砂まみれになって。

君が私を変えてくれた、
失くしかけてた笑顔を取り戻してくれた、
私の救世主だったんだ。

・

そんな私もすぐに小学生になり、
新しい小学校での入学式。

また君と出会った。

「あ、海の子や！」

君は私を見るなり
大声でそう言って私を指差した。

「俺、永瀬廉！君は？」

『中島、A …… 』

少し控えめに自己紹介したら
廉はまた笑って私の手を強く握った。

廉「よろしくな！」

それから10年、
廉はずっと私のそばにいてくれたね。

泣いたり笑ったり、
悲しい思い出も楽しい思い出も、
私の記憶の中にはいつも廉がいる。

・

今、その思い出深い海を見てふと思う。

廉を好きになったのはいつからだろう______