愛の運命。 (ページ8)

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Destiny 8 ページ8

廉の言った通り
電車に揺られて誰も知らない街に行く。

特に目的地もない、ただ遠いところ。

大阪の駅を抜けて
満員だった電車も人がほとんどいなくなり、
外の景色はどんどん田舎味を増していく。

『うわあ、綺麗』

私は初めて見る街並みに感動して
窓の外を眺めていた。

「ゆーて地元も田舎やん」
なんて夢のないことを呟く廉は
眠そうに欠伸をした。

そのまま寝る体勢に入ったはいいものの
私の肩にもたれかかってきて
廉の髪が当たってくすぐったい。

『ちょ、廉！起きなよ！』

揺すぶってみても、押してみても
「眠い」の一点張りで全然頭を上げようとしない。

『もー廉のバカ』

何を言っても起きなくて
仕方なくそのままの体勢でぼーっとする。

・

しばらくして駅名を知らせる
駅長さんのアナウンスが流れると

廉がハッと目を覚まし、
私の手を引いて急いで電車を降りた。

『ちょっ、降りるなら何か言ってよ！』

慌てて降りたその駅は本当に何もない田舎で
近くにはすぐ海が見えていた。

空はすっかり夕焼けに染まり、
海には沈みかけた太陽の光が
キラキラと反射していた。

『綺麗 …… 』

私がボソッと呟いたのと同時に
「行くで」と強引に手を引く廉。

なんだか懐かしいこの光景。

微かに覚えてる、この景色も匂いも。

『ねえ、廉』

廉「ん？」

少し前を歩く廉の声が
波の音にかき消されて小さく聞こえる。

『ここ、前にも来たことある？』

廉「やっと思い出したか」

廉は振り向いてニコッと微笑むと、
「俺たちが初めて会った場所」と
確かにそう答えた。