【歌い手恋文企画】机に描いたloveletter 1st (ページ15)

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【センラ】逆さまの世界2 /　うさ美* ページ15

冷たい風が肌に当たる度、寒いというよりは痛いと感じた。
二月、最後の冬は凍てつくような寒さだ。
それでも足を出すのは若さ故というか、あの人の気を引くためというか……。

「A……もう一回……」

「……仕方ないなぁ……」

私は先生の必死な顔が好き。汗だくになって切羽詰まったような顔で私を求めるの。
噛まれた太ももに恥じらいを残して、声を漏らさまいとシーツを噛んだ。
保健室に二人、日の光がカーテンに影を作って一つに繋ぐ。

「今日も居残りする?」

「……先生が残業なら私も居残り」

「そっか……A、本当は数学嫌いやろ。俺知ってんで」

何度むさぼるようなキスをして何度激しく抱いても、先生は私の思いを信じない。
優しく私に触れて大切にしてくれるくせに、時折悲しそうな顔をする先生にイケない恋だと告げられているような気がした。

「先生、私ね」

ゆっくり先生の頬に触れると、暖かかった。
私にはない温もりを持っている先生に救われる時がある。
不愛想で無口だと気味悪がられる私に気持ちをくれる。

「?」

「数学、好きだよ」

私は先生の大きな瞳に吸い込まれるようにキスをした。
裸のまま抱き合って授業をサボるのは何度目だろうか。
危険だと知りながら溺れてしまうのは何度目だろうか。
息も出来ない世界でさえ美しく感じてしまって、私には愛おしいのだ。
それは愛という名の柵で、私達が罰せられるというのならそれは人間の業なのだ。