ヘンズツウ【菊地原士郎】

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「お前、何隠してるの」


見上げれば 自分を見下ろす菊地原。
相変わらず表情は大きく変わらないものの
見逃してくれるような雰囲気ではない



『……べつに、ちょっと頭痛かっただけ』

「………ふうん。もう授業始まるよ」

『なんで戻ってきたの？』

「べつに」

『…………』「………」


聞こえるのはカチカチと動く時計の針の音


「授業行かないの？」

珍しく菊地原から話しかけられる


『………行くよ』


そう言ってAはパッと立ち上がるが


『…っ…………』


______ぐらり と揺れる視界
このまま倒れれば机に直撃だろう
目をつむった



____キュ


上履きのゴムの音がまた聞こえた後
身体の落ちる動きは暖かいナニカで止まった


「………言っとくけど仕方なくだからね」


目を開ければ菊地原が支えてくれているではないか。
そう、あの(・・)菊地原がだ。


『………ごめん』

「顔色悪。帰ったら？」

『うん……』


菊地原もこの時は

ただ、体調が悪いのだと思っていた。




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