今日もカノジョは世界一可愛い！【Raul】 (ページ12)

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12話ページ12

「‥‥子ちゃん。舞子ちゃん？」

「あ、ごめん！どうした？」

「‥‥ちょっと疲れちゃった？色々引っ張り回しちゃってごめんね」

「ちょっ、謝んないでよ〜！！全然疲れてないよ？ほら、これからイルカショーも始まるわけだし」

粗方見終わった俺たちを迎える大トリはこの水族館の名物であるイルカショーだ。

なるべく良い席で見たいねってなって少し早めに移動してきた俺たちは最前列に座っている。
だんだん人も増えてきてこれから始まるショーへの期待感が高まっていった。

そうして始まったイルカショー。
音楽に合わせて沢山のイルカたちと飼育員さんが踊ったり跳ねたりパフォーマンスをしている。

登場してきたイルカたちにAちゃんの瞳は今日イチでキラキラと輝いていて、友達としてここに一緒に来れて良かったなぁ、なんて微笑ましく思っていた。

その油断が良くなかったんだね。
イルカが突然跳ねたと思ったら目の前で落ちて大きな波が俺たちを襲う。

‥‥‥ちょっと待った。
波でメイク落ちたらさすがに俺＝ラウール(クラスメイト)だってバレるのでは‥‥？

襲いかかってくる波がスローモーションのように見える。こんなの避けようがない‥‥！

この後待ち受ける悲劇を想像してただ襲ってくる衝撃を待っていると

フワッ

目の前に人の影が見えて、それで

バッシャーーーーン

『キャーーーーーーーーー』

水を被った周囲の人たちのテンションは最高潮。
それに反比例するかのように俺とAちゃんの空気は静まりかえっていた。
ポタポタと雫がAちゃんから滴り落ちて止まらない。

「Aちゃん、どうして‥‥？」

「‥‥‥大事な友達、濡れさせるわけにはいかないって、思って‥‥」

汗も落ちたし、ちょうど良かったかな？

そう言って笑うAちゃん。

でも夏とはいえ彼女はノースリーブでさっきまで冷房が効いた室内にいたわけで。

風が吹いて彼女が身震いした瞬間、その腕を引いてイルカショーを抜け出していた。

「舞子、ちゃん？まだイルカショー」

「イルカショーなんていいよ。それより体拭かなくちゃ。‥‥ちょっと待っててね」

お土産屋さんに着いた俺は適当な大きめのタオルを買ってすぐに出た。タオルを出して彼女の頭を拭いてあげる。
胸元あたりにあるから頭が拭きやすい。

冷えてしまった彼女を温めてあげなくちゃ。
そんな思いで無心になってひたすら彼女を拭いてあげた。