異常愛と束縛愛【鬼滅の刃】鬼ノ章

第五十六話 ページ6

〜A〜




青い彼岸花



聞いたことある気がするけど見たことはない



それにそれは、存在しない


存在させてはならない



代々そう受け継がれてきた



その理由までは語られてはいないけど




まぁ何にせよ、私には作れないから関係ない



その事を月彦さんに伝えるとひどくガッカリされた




家族とどこにも行けないのは辛いよね


夜だと行けるとこも限られるし



せっかく知り合えたのだから力にはなりたい



私の知識と今の医学では完全には治せないだろうけど、数時間だけでも歩けるようにしてあげたい



そのためには月彦さんの体を調べる必要がある




家に帰ってる時間がもったいない



ここで、やれるだけの事をやってみよう




｢あの月彦さん。もし時間があれば健診させてもらえませんか｣


無惨｢ええ。もちろん｣


これまで学んだことを信じよう



どんな傷にも病にも治す薬や治療はある



それがまだ見つかっていないなら、私が見つけて治療薬を作ればいい



簡単なことじゃないのは分かっている



さっきは未知の病に臆して断ってしまったけど、こんな奇病は大きな病院では治せないと言われたのかもしなれない



でなけれ私のような者に頼むわけがない





しばらくは家に帰れないと手紙を送らないと





伝書鳩を借りたくて店主さんを探したけど、どこにもいなかった




なんだろこの胸騒ぎは




いま宿には三人いるはずなのに、まるで“人の気配”がしない





全ての部屋を探したけど誰も……



一体どうなってるの





無惨｢何かお探しですか？｣


｢ええ。ちょっと……あの！ここの店主がどこ行ったか知りませか？｣


厨房には切りかけの食材がある


お鍋もかけっぱなし



争った形跡はないから連れ去られてという線は考えにくい




そもそもどうして店主を？




無惨｢どうされました？早く私の部屋に戻って続きを……｣


そう言って私の手を取った


その行動に違和感を覚えた



なんだこの人



人が一人、いなくなったかもしれないのに自分だけを優先させる



お金持ちとはみんなそうなの？




常に自分が正しくて、他人のことなんてお構いなし



｢月彦さん｣


無惨｢はい？｣


｢ごめんなさい！！自分勝手で申し訳ないですけど、やっぱり私には貴方は診れません！！｣


無惨｢Aさん……？｣


｢期待させるような言動を取ってしまい本当にごめんなさい｣


陽はまだ出ている


探す時間はまだある

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