5 ページ6
香る珈琲の良い匂い、サンドイッチを頬張り食べる私はリスと間違われそうだ
モグモグと食を進めているとネクタイを整え終わったのか、テーブルに珈琲と食事が届いている事に気付いたのか慌てて着席したウツさん
ふぅと息を吐いて私の方へちらりと視線を向けると「Aさんリスみたいやね、そんな焦らんでも誰も盗らへんよ」なんて笑われてしまった
まあ案の定だったか、リスだなんて。
私にそんな頬袋はないし口の中にサンドイッチがあるので話す事はなく只眉にシワを寄せながら怒ってます、不機嫌ですとだけ伝わる意思表示を向けた
当の本人ウツさんは気にする事なくトーストにマーガリンを塗って口に咥え食している
食べ方もとっても綺麗、疑う事のないその美貌や仕草…少し抜けている所もあるのだろうが其れを拭う事が出来る有無を言わさない雰囲気にきっと誰もが目を奪われるのだろう
珈琲を飲んで一息つきながら店内にあるアンティークな時計へ目を向ける
時間的にもまだまだ余裕はあるしゆっくりしていくか、と再び珈琲を口に含み喉を通した
「このまま、Aさんの時間を独り占め出来たら良かったんやけど。……残念ながら【無関係】とはいかんみたいやな」
『え?』
急に何を言い出したかと思えばウツさんは私の手を取り立ち上がると自分の方へと手繰り寄せた
【可笑しい】、先程迄あったテーブルと椅子が間にあって手繰り寄せられる事はないのに私は今彼の…ウツさんの胸の中に抱かれているのだから
困惑と状況理解という脳内整理が追い付かず目の前がぐるぐるとしてくる
意識はあるのに纏めあげる時間が欲しかった
縋るように上にあるウツさんの顔を見上げれば、ウツさんは私ではない方へ視線を向けていたのだ
私もその視線の先へ視線を向ければ、其処には【※黒い靄】があった
周りに先程のお店らしい空間もなく真っ黒色の空間に真っ黒な靄が佇んでいるのである
得体の知れない恐怖で身体が震えた
でも、何故か握られた手があるからか何処か安堵している自分が居る
それにしても……あの靄は一体?
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 79人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
雨桐(プロフ) - にゃーちゃんさん» 初コメありがとうございます。更新渋っていたのでモチベが上がりました!これからも頑張りますので応援の方宜しくお願い致します。 (11月23日 14時) (
レス) id: 24188e2a99 (このIDを非表示/違反報告)
にゃーちゃん - 初コメ失礼します！とても面白くて、一気読みしてしまいました…！悪魔とかそういうのめちゃくちゃ好きなので嬉しい！更新頑張って下さい。楽しみにしてます！ (11月22日 16時) (レス) @page31 id: fd6863f2a6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
