疑似体験?! ページ30
.
「そ、そんな」
血を吸うって、Aさんが“アレ”の疑似体験できちゃうんですねぇぇっ?!
《前にもその話しただろ?もう忘れたのかよ!》
「すいません……」
軽いお小言を頂いた後、電話を切った。
多少ご立腹のユンギヒョンの説明でAさんが気絶した理由を知り、エライことになったと頭を抱えてしまった僕。
まさか……極致に達していたとは。
いつもヒョンが連れてくる女性は“食事”に慣れた人ばかりで、この位で倒れちゃうなんて事なかったからなぁ。
「え?」
ちょっと待って?
てことはもしかしてAさん……“そういう事”?
「なんてこった!」
ごめんなさいAさん。
何だか君の初めてを無理矢理奪ってしまった、そんな気分です。
寝室のベッドに寝かせたAさんを見つめながら、どう責任の取るべきかを必死に考えていた。
謝るのは当然だけど、だからって、気絶した理由を知ったらそれはそれで困ったことになりそうだし。
もうこれは僕がそれ相応の責任を取るより他ないのでは?
一瞬過る、“あの時期”の事。
いやいや、でもまだそれは気が早いか。だって出会ったばかりだし、初めて頂いた人だし?
……でも、僕の事、怖がらなかったし、優しそうだし、何より僕の好みの味で非の打ちどころがないんだけど!
この子とだったら……いいなぁ。きっと寂しくないだろうなぁ。
「そっか……ヒョンにどうしてあんなに“食事”相手が多いのか、ちょっとわかった気がする」
一人で生きていく時間が圧倒的に長い僕等に沢山の“食事”相手がいるってことは、“あの時期”の相手探しもあるけど、僅かでも寂しさを忘れられるからかもしれない。
僕の色ボケ親父は例外。あれはただの女好きだ。
人一倍寂しがり屋だからって言われたら、ま、大目に見るかもだけど。
「と、それも大事だけど、だ」
ポケットに常備している、もしもの時の為の手帳の1ページを破ってペンを握って……
じーの〜じーの〜じーのじの。っと。
「うん!とりあえずこれでいいかな?」
僕はメモをリビングのテーブルに残して、靴を片手にAさんの寝室に再びお邪魔する。
そぉっと手の甲でAさんの頬を撫で、掛け布団を整えた。
後ろ髪引かれる思いで窓に足を掛け靴を履きながら、身を乗り出す。
振り返ると、可愛らしい寝顔のAさん。
「じゃあね、Aさん。おやすみなさい」
地上めがけてふわりと舞った。
1119人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あがしおん(プロフ) - syky1814さん» コメントありがとうございます。間もなくパス外して更新しますので、もうちょっとだけお待ち下さい〜。 (2020年6月13日 21時) (レス) id: 4017986d72 (このIDを非表示/違反報告)
syky1814(プロフ) - はじめまして結婚してくださいのパスワードを教えてください。 (2020年6月13日 21時) (レス) id: 1e639eab67 (このIDを非表示/違反報告)
あがしおん(プロフ) - kinanekoさん» コメントありがとうございます!何だかガッツポーズが見える気がしてきましたwそんなに喜んでいただけると作者冥利に尽きます。ありがとうございます、ぼちぼちっと頑張ります♪ (2019年1月3日 22時) (レス) id: 1e736e073a (このIDを非表示/違反報告)
kinaneko(プロフ) - あがしおんさんの新作を見つけた時、「来た……!!!!よっしゃ!」と思いました!今年もいろんな作品が見たいです!頑張ってください!応援しています! (2019年1月3日 21時) (レス) id: 6812edf24f (このIDを非表示/違反報告)
あがしおん(プロフ) - ARMY&CARATさん» 私の拙い作品を気に入っていただけて、ありがとうございます!マイペースですが、更新頑張ります! (2018年12月29日 2時) (レス) id: 1e736e073a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:あがしおん | 作成日時:2018年12月25日 0時